待ち伏せ−２ ページ2
「あ、そうなんだ……」
私を待っていたという結弦くんの言葉にひどく動揺した私は、どんな表情をしていいかわからず窓の外の景色を眺めるふりで顔をそむけた。
どうして……？
頭の中で疑問ばかりがぐるぐると渦を巻く。
私に会いに来る理由が見つからないし、もう過去の話はしたくない。
やっと、前を向こうって気持ちになれたのに。
どうしてなの……？
まとまらない考えにため息をついたら、
「……ごめん」
結弦くんの小さな声が、隣りからぽつりと聞こえてきた。
「待っていたとか、うざいよね」
びっくりして結弦くんのほうに振り向くと、形のいい薄い唇を噛んだ横顔があって、まっすぐな睫毛が白い肌に影を落としてた。
「図書館は子どもたちでいっぱいだし、これしかAに会う方法が見つからなくて……。でも、待ち伏せなんて、気色悪いよな」
「……そんなことないけど」
「本当？」
私がすぐに否定しなかったから、結弦くんは疑わしそうな表情をしているけど。
すれ違う車のライトに照らされる結弦くんがあまりにも綺麗で見惚れていたなんて……、言えない。
「うん、本当に」
「よかった」
心底ホッとしたように口元に笑みが浮かぶ。
強引に乗せたかと思うと、真剣に謝ってきたり。
結弦くんがおかしい。
「あの、だけど……。どうして？」
「うん、あのさ―――」
ぐーーーーーーーー、きゅるるる……。
「…………………」
「……、……ごめんなさい」
だって、お昼にお弁当食べてから、なにも口にしていないし。あーー、恥ずかしい……。
「……ふふふっ」
これ以上鳴らないようにお腹を手で押さえている私の横で、結弦くんが急に笑い出す。
「もー、笑わなくても」
「ん、高校のときと変わってねーなって思ってさ。あの頃もよくお腹空かせて、お菓子買い食いしてたよね」
「それは！ ……成長期だったからしょうがないでしょ」
「可愛いよな、Aのお腹の音」
「それ以上言わないで」
からかっているのだとわかっていても、可愛いってそのイケボで言われると、変に意識してしまう。
「だいたい育ちざかりなのにお腹空かない結弦くんのほうがおかしかったんだからね」
「これでも昔よりは食べるようになったんだけど」
つっけんどんに言い返した私に、結弦くんはこてんと小首をかしげた。
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エミル(プロフ) - 鹿さん» 鹿さん、コメントありがとうございます。しばらくじれったい状態を続ける予定です(笑) 罪悪感と妄想の狭間で悩みますが、結局妄想には勝てない。心の中で羽生さんに謝りながら書いています(^_^;) (2022年1月12日 22時) (
レス) id: 68edaa3183 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - ちなみに、罪悪感は、私の場合三日くらい経ったら消えます(笑)最初はすごくあったけど、結局妄想は止まらない感じ…。申訳ないですよね、ほんと。 (2022年1月12日 16時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - くっつきそうでくっつかない(笑)じれったい二人をまだまだ見ていたいです＾＾毎日楽しみにしています！ぜひぜひ羽生さんに幸せをあげてください！ (2022年1月12日 16時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：エミル | 作成日時：2021年12月18日 20時
