一歩前進、二歩後退ー2 ページ41
「うわー、今日も暑くなりそうだな」
夏が苦手なゆづが眉間に皺を寄せて、目を細める。
「でも、夜にかけて線状降水帯がかかるみたい。それまでには帰れるようスケジュール組んでいるけど」
「そっか、夏になるとゲリラ豪雨とか多いもんね」
天気予報である程度予測できるとはいえ、空の様子に気をつけなきゃ。
「しかし、大きい車だね。運転、平気?」
「実家では軽に乗っているんだけどね。それじゃ狭いかなーと思って」
ゆづ、足が長いし。
それにゆづが送迎に使用している車、高級メーカーの中でもハイエンドモデルのワンボックスだった。一度乗せてもらったとき、その乗り心地の良さにびっくりしたもの。
だから、今回はちょっと背伸びして、大型で安定性のある車を選んだ。
「音楽かけていい?」
「どうぞ」
カーステレオとiPhoneをつなぐゆづを見ながら、安全運転で行こうと気を引き締めた。
道が空いていたこともあって、高速に乗ってからはスムーズで予定より早めにICを降りる。
11時には目的地の磐梯吾妻スカイラインに到着した。
夏の青空と綺麗な緑が目に鮮やかで、気分が上がる。
そして、私たちはレストハウスに車を停め、お昼ご飯を食べることにしたのだけど……。
「本当に、大丈夫かなぁ。バレない?」
有名人を連れて歩くことに、私はかなり挙動不審になってしまう。
大騒ぎになっても、マネージャーさんもいない、誰もゆづを守ってくれない。不安だ。
「キョロキョロすんなよ、余計に目立つ」
レストハウスへと歩きながら、ゆづはメガネをかけた。キャップとマスクで、ほぼ顔は隠れている。
「だって……」
「今日は人も少ないし、服装にも気を使ってるから平気だろ」
「服装?」
「ダボっとした服。体の線が出ると、バレる確率が上がるから」
あー、なるほど。だから、今日はオーバーサイズのゆるっとした恰好なのね。
「とにかく自然にしてれば、誰も気に留めない。たぶん」
たぶんって、いい加減だな。
ゆづって神経質なのか、大胆なのか、ときどきわからない。
平日のランチには比較的早い時間帯だったこともあり、レストハウスの食堂内は人もまばらだった。
よかった、有休取って。
券売機で食券を購入して、窓際の隅のテーブルに座る。
すぐに呼ばれて、私がゆづのぶんもカウンターに取りに行った。
ゆづは塩ラーメン、私は揚げそば。
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エミル(プロフ) - ころねさん» キュンキュンしてもらえて、嬉しいです♡ すっかり可愛い羽生さんになってしまいましたが、しばらくこの状態が続きます(笑) (2022年11月28日 22時) (レス) id: 68edaa3183 (このIDを非表示/違反報告)
ころね(プロフ) - うわ〜キュンキュンします♡赤面する羽生さん、かわいすぎる(^^)でももどかしい! (2022年11月28日 22時) (レス) @page37 id: 800fd7d527 (このIDを非表示/違反報告)
エミル(プロフ) - 璃子さん» 二人の距離が縮まればいいなーと思いつつ、書いていますが……まだしばらく友達の予定(笑) (2022年11月18日 22時) (レス) @page27 id: 68edaa3183 (このIDを非表示/違反報告)
璃子(プロフ) - わぁぁ…ここで待て!ですか!!どうなっちゃうの?気になる〜〜 (2022年11月17日 22時) (レス) @page27 id: 9bf38dcb2c (このIDを非表示/違反報告)
エミル(プロフ) - 璃子さん» 璃子さん、ありがとうございます。ライビュは大きな画面で羽生さんを観ることができるのがいいですよね。ドアップになるたび、変な声が出そうになるけど(^_^;) 可愛い羽生さんは、書いていて楽しいです。しばらく恋に翻弄されてもらう予定(笑) (2022年11月1日 22時) (レス) id: 68edaa3183 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:エミル | 作成日時:2022年10月25日 21時