軋む胸の奥ー５ ページ5
＜Yuzuru Side＞
「―――つっ……！」
指先の痛みに、思わず漏れた声。
「―――結弦さん？ どうかしました？」
「いえ、なんでも」
ソファに座っている杏南さんに笑顔で答えてから、指の腹に滲んでくる赤い血を水で洗い流した。
包丁で指を切るとか、注意力散漫。
さっきから、料理をしていても上の空だ。
―――誰なんだろう、あの男。
自分の意識がその一点に集中している。
元彼の束縛がきつかったせいで、親しい男友達はいないとAから以前聞いていた。
新しい彼氏ができたなら、話してくれるはず。
年末にあったコンパで出会った人だろうか？ 連絡先交換したって言っていたよな。だけど、コンパの相手は同業他社らしいし、どう見てもあの男はお堅い金融機関に勤めている風貌じゃなかった。
見た目で判断するのはよくないけど、遊び人っぽい。
Aがそんな奴を選ぶだろうか？
待てよ。
あいつ、男を見る目はないんだった。
はっきりしているのは、あの男はAの部屋に招かれるぐらい仲の良い間柄にあるということ。
俺以上に信頼している奴がいるなら、元彼とのトラブルだってあの男を頼れよな。
「……はぁ……」
ちゃうな。
それはそれで、腹が立つ。
どうしたのか、自分でもわからねー。
Aには、俺を一番に頼って欲しい。
男友達は俺がいるから、それで十分だろ。他の奴と仲良くする必要ないじゃん。
……ジコチューだな、俺。
友達のくせに、Aの一番でありたいとか、さすがに虫が良すぎる。Aのすべてを把握したいなんて思い上がった考えだ。
玉ねぎを切っていた手を止めて、包丁をまな板の上に置く。
深く深呼吸をし、頭を左右に振った。
よし、一旦、落ち着こう。予期せぬ場面に遭遇して、頭が混乱しているだけだ。
Aのことは忘れる。忘れるんだ。
杏南さんに目をやると、ソファでフィギュアスケート雑誌を読んでいた。
俺の心の内の葛藤など知らず、涼し気な表情でページをめくる仕草にも品がある。おそらく彼女はよそ様の家のソファでゴロゴロくつろいだりはしないだろう。
いや、自宅でもだらしなく過ごしてる姿も想像できないや。
玉ねぎを手に取り、料理を再開する。
俺が料理をするにあたって、杏南さんは手伝いを申し出てくれたけど、断った。
二人でキッチンに立つのは、Aとだけでいいから。
……、……。
………あーあ、またAに考えがいきついてしまった。
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エミル(プロフ) - ころねさん» キュンキュンしてもらえて、嬉しいです♡ すっかり可愛い羽生さんになってしまいましたが、しばらくこの状態が続きます(笑) (2022年11月28日 22時) (
レス) id: 68edaa3183 (このIDを非表示/違反報告)
ころね(プロフ) - うわ〜キュンキュンします♡赤面する羽生さん、かわいすぎる(^^)でももどかしい！ (2022年11月28日 22時) (レス) @page37 id: 800fd7d527 (このIDを非表示/違反報告)
エミル(プロフ) - 璃子さん» 二人の距離が縮まればいいなーと思いつつ、書いていますが……まだしばらく友達の予定(笑) (2022年11月18日 22時) (レス) @page27 id: 68edaa3183 (このIDを非表示/違反報告)
璃子(プロフ) - わぁぁ…ここで待て！ですか！！どうなっちゃうの？気になる〜〜 (2022年11月17日 22時) (レス) @page27 id: 9bf38dcb2c (このIDを非表示/違反報告)
エミル(プロフ) - 璃子さん» 璃子さん、ありがとうございます。ライビュは大きな画面で羽生さんを観ることができるのがいいですよね。ドアップになるたび、変な声が出そうになるけど(^_^;) 可愛い羽生さんは、書いていて楽しいです。しばらく恋に翻弄されてもらう予定(笑) (2022年11月1日 22時) (レス) id: 68edaa3183 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：エミル | 作成日時：2022年10月25日 21時
