一歩前進、二歩後退ー1 ページ40
Aおはよ。駐車場で待ってるね
ドライブに行くために駅前で車をレンタルした私は、マンションの地下でゆづにメッセージを送った。
9時前だというのに、立っているだけでじっとりと汗ばむ。
もー、日焼け止め塗ったのに……。
ベタベタする肌を不快に思いつつ、タオルハンカチで汗を拭っていると、エレベーターからゆづが降りてくるのが見えた。
「おはよ」
ゆづはすぐ私に気づいて、足早に車のところまで来る。
「おはよう。じゃ、行こっか」
「あ、待って」
運転席に乗ろうとしたら、ゆづに呼びとめられた。
「どうかな?」
そして、私の正面に立ったゆづは、両手を広げてくるりと一回転した。
「……どう、とは?」
「ん、だから、この服装、変じゃない?」
「…………」
聞かれて、私は改めてゆづの全身を眺める。
白シャツの上に羽織っているオーバーサイズのバンドカラーシャツは、ゆづにしてはめずらしいロング丈。柔らかいカーキ色がライトブルーのワイドデニムと合っていた。
ジャージ以外の服装を何度か見たことあるけど、いつもセンスがいい。
そのからくりはスタイリストさんにコーディネイトしてもらっているからだとゆづに聞いて、知っている。
「うん、似合ってるよ」
ドレスコードさえきちんとしていれば、ファッションには無頓着なゆづが……自分の服装を気にしてる……。
なぜ?
「髪は?」
「え、髪!?」
「外ではキャップをかぶるから、ナチュラルなセットにしてみたんだけど」
と、小首を傾げた。
ますます怪訝に思いながらも、ゆづを見上げる。おろした前髪を横に流しただけの自然な感じが爽やかで、十代にしか見えない。
「……いいと思う」
寝ぐせでアンテナが立っていても平気なゆづが……ヘアスタイルを気にしてる……。
これは、天変地異の前触れ?
「そ、よかった。じゃ、出発しよ」
「……う、うん」
なんだか釈然としない気がするものの、ゆづに促された私は運転席のドアを開けた。
「よいしょ」
助手席でゆづがシートベルトを締めるのを確認し、私はアクセルをゆっくり踏んで車をスタートさせる。
スロープを通って地上へ出ると、太陽の眩しい光が差し込んできた。
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エミル(プロフ) - ころねさん» キュンキュンしてもらえて、嬉しいです♡ すっかり可愛い羽生さんになってしまいましたが、しばらくこの状態が続きます(笑) (2022年11月28日 22時) (レス) id: 68edaa3183 (このIDを非表示/違反報告)
ころね(プロフ) - うわ〜キュンキュンします♡赤面する羽生さん、かわいすぎる(^^)でももどかしい! (2022年11月28日 22時) (レス) @page37 id: 800fd7d527 (このIDを非表示/違反報告)
エミル(プロフ) - 璃子さん» 二人の距離が縮まればいいなーと思いつつ、書いていますが……まだしばらく友達の予定(笑) (2022年11月18日 22時) (レス) @page27 id: 68edaa3183 (このIDを非表示/違反報告)
璃子(プロフ) - わぁぁ…ここで待て!ですか!!どうなっちゃうの?気になる〜〜 (2022年11月17日 22時) (レス) @page27 id: 9bf38dcb2c (このIDを非表示/違反報告)
エミル(プロフ) - 璃子さん» 璃子さん、ありがとうございます。ライビュは大きな画面で羽生さんを観ることができるのがいいですよね。ドアップになるたび、変な声が出そうになるけど(^_^;) 可愛い羽生さんは、書いていて楽しいです。しばらく恋に翻弄されてもらう予定(笑) (2022年11月1日 22時) (レス) id: 68edaa3183 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:エミル | 作成日時:2022年10月25日 21時