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笑顔の裏側ー2 ページ11

<Yuzuru Side>

「……あー、もう」

その場にしゃがんだ俺は項垂れた。

だから、恋なんかしたくなかった。
面倒くさい。

いいや、無理をすると余計にボロが出る。今までどおり、ジャージにしよう。

そう決めて、畳んであったジャージの上下を手に取ろうとしたとき、スマホの着信音がリビングから聞こえてきた。


「……ん、父さん?」

とりあえずシャツだけ身につけてリビングへ行くと、めったに電話をしてこない人の名前がスマホの画面に表示されていた。

「もしもし」

『結弦、今いいか?』

「うん、いいけど。……なに?」

問い返しながらも、父親の真面目な声を聞いたら、用件がわかった。

『館花さんのお嬢さんの件だが―――』

ああ、やっぱり。

父親はこれまで一度も俺と杏南さんのことを聞いてはこなかった。
俺を信頼し、俺の意志を尊重してくれているから。

だけど、杏南さんの父親は父さんの知り合いだ。俺の口からきちんと話すべきだった。

「父さん、ごめん。杏南さんとはダメになった」

『そうか、今朝館花さんから連絡をもらってね。価値観の違いが理由でよく話し合った末の結論だと聞いているが……』

「え?」

正式に婚約という形はとっていないけど、お見合いを経て、結婚を前提に会っていたのだ。婚約していたも同然だし、自分は慰謝料を請求されても仕方ない立場だと思っていたのに。

「悪いのは俺のほう。杏南さんには非はない。杏南さんのご両親にも謝罪に伺いたいから、場を設けてもらえないかな?」

彼女が俺に恋愛感情を持っていなかったのは間違いない。

ただ、フィギュアスケートを勉強したり、手作りのチョコレートをくれたり、彼女なりに誠実に俺との関係を構築しようと努力してくれていた。

それを裏切ったのは、俺。

『館花さんからは、もし結弦が謝罪を口にしても不要だと伝えてくれと言われたよ』

「……、………」

どこまでもお見通しか。
杏南さんの先回りした対応に、閉口するしかない。

『二人の間で解決しているなら、なにがあったかは問わない』

「ごめん」

父親は俺を批難するでもなく、体には気をつけろとだけ付け加えて、電話を切った。


もし、Aと出会っていなければ……。

杏南さんと理想的な夫婦となれただろう。

控えめだけど、俺より一枚も二枚も上手な彼女にうまくコントロールされて、煩わしいことには関わらず、スケートだけに没頭できる生活。


 
 
 

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設定タグ:羽生結弦 , フィギュアスケート   
作品ジャンル:恋愛
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エミル(プロフ) - ころねさん» キュンキュンしてもらえて、嬉しいです♡ すっかり可愛い羽生さんになってしまいましたが、しばらくこの状態が続きます(笑) (2022年11月28日 22時) (レス) id: 68edaa3183 (このIDを非表示/違反報告)
ころね(プロフ) - うわ〜キュンキュンします♡赤面する羽生さん、かわいすぎる(^^)でももどかしい! (2022年11月28日 22時) (レス) @page37 id: 800fd7d527 (このIDを非表示/違反報告)
エミル(プロフ) - 璃子さん» 二人の距離が縮まればいいなーと思いつつ、書いていますが……まだしばらく友達の予定(笑) (2022年11月18日 22時) (レス) @page27 id: 68edaa3183 (このIDを非表示/違反報告)
璃子(プロフ) - わぁぁ…ここで待て!ですか!!どうなっちゃうの?気になる〜〜 (2022年11月17日 22時) (レス) @page27 id: 9bf38dcb2c (このIDを非表示/違反報告)
エミル(プロフ) - 璃子さん» 璃子さん、ありがとうございます。ライビュは大きな画面で羽生さんを観ることができるのがいいですよね。ドアップになるたび、変な声が出そうになるけど(^_^;) 可愛い羽生さんは、書いていて楽しいです。しばらく恋に翻弄されてもらう予定(笑) (2022年11月1日 22時) (レス) id: 68edaa3183 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:エミル | 作成日時:2022年10月25日 21時

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