友達の定義ー５ ページ10
＜Yuzuru Side＞
「これまでどおり、ただのお隣同士ってことで」
自分の声が尖っているのがわかって、俺は感情を隠すように香椎さんに背を向けた。
なに苛ついてんの、俺。
ジャージやタオルを手当たり次第にバッグに詰め込みながら、考えを巡らせる。
香椎さんが言うとおり、俺たちはたまたま部屋が隣同士だっただけ。
保険の手続きや彼女が倒れているところに遭遇するというハプニングがあったけど、本来なら挨拶程度の関係。
友達になりたいっていうのも、俺の気紛れな提案にすぎなくて。苛つく要素は全然ないのに。
まして、ショックを受けるとか。
意味わかんね。
まるで告白してフラれた気分……。経験ないけど。
自分を否定された気がしたからだろうか。
“羽生結弦“という特別な存在としてでなく、ありのままの自分を認めて欲しかった？
でも、こんな経験、今までだって散々してきた。勝手に作り上げたイメージで俺を見る人はいくらでもいたじゃん。付き合っていた莉緒ですら、そうだった。
それとも相手が香椎さんだから、ショックなのか……？
―――バカみてぇ。
いくら考えたところで、香椎さんが答えを出したのならどうしようもない。人は変えられないのだから。
住んでいる世界が違うと線引きするなら、自由にどうぞ。
去る者は追わない主義だ。
香椎さんに帰ろうと声をかけて、リンクから出る。
彼女を部屋まで送り届けたら、終わり。今日のことはもう忘れよう。
背後から少し離れて香椎さんがついて来ているのを確認し、俺は入り口のドアに手をかけた。
「―――あの、羽生さん」
熱気の抜けた空気が肌に触れたと同時に聞こえてきた、香椎さんの声。
「……なに？」
開きかけたドアを閉めて、外気を遮断する。
俺はごく自然な表情で香椎さんのほうに向きなおった。口元には笑みを浮かべて―――“羽生結弦”の顔で。
「今日はありがとうございました」
「ああ、いいよ」
「それで……さっきの話なんですけど」
ぴくっと自分の頬が動く。
でも、ポーカーフェイスは崩さない。
「うん、気にしなくていいから」
ここで改めて香椎さんに謝られたりしたら、惨めな気分になりそうだ。
「俺も気にしていないし。これからもお隣としてよろしく」
先手を打って、明るく言い放つ。もうこの話はやめよと、暗に込めて。
「いいえ、私は気にします」
ところが、香椎さんの返事が誰もいないロビーに響いた。
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エミル(プロフ) - 鹿さん» いつも楽しみにしてくださり、ありがとうございます！私もこの先どう恋愛にもっていこうか、思案中です(笑)恋愛に目覚めた羽生さんがどうなるか考えるのも楽しみ。 (2022年9月19日 10時) (
レス) id: 68edaa3183 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - 冷めてますね〜＾＾こんな羽生さんがどうやって人を好きになるのかすっごく楽しみです！どんな痛い目にあうんだろ…ドキドキ！ (2022年9月19日 7時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
エミル(プロフ) - ころねさん» きっと、お料理している姿もめちゃカッコいいはず！半分こしたいという妄想(笑) (2022年9月16日 22時) (レス) id: 68edaa3183 (このIDを非表示/違反報告)
ころね(プロフ) - 羽生くんが作ったオムライス…なんて素敵なパワーワード！ (2022年9月15日 23時) (レス) @page29 id: 800fd7d527 (このIDを非表示/違反報告)
エミル(プロフ) - 璃子さん» 璃子さん、そう痛い目にあう羽生さんを書きたい！楽しみにしていてください（←自分でハードル上げる･･･汗） (2022年9月14日 21時) (レス) id: 68edaa3183 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：エミル | 作成日時：2022年8月23日 20時
