ありえない妄想ー３ ページ46
「A、なあ」
「やっ、やめてってば……」
無理やり抱きすくめてこようとする康介の腕の中で逃げようと必死でもがくけど、力じゃ敵わなくて。
触れてくる手も、耳にかかる息も、嫌悪感しかなかった。
「A、いいだろ」
「やっ。―――ふ、ふざけないで……っ！！」
「ぐわっ……！」
渾身の力を込めて、足をヒールで踏みつけた私は、康介がよろけた隙に腕からすり抜けた。
「―――待てよ、A！」
あー、もう。
ゆづの言葉どおり、私は男を見る目がなさすぎ！
「―――A、今帰り？」
ドアの前で、バッグの中の鍵を探していると、ちょうど部屋から出てきたゆづが声をかけてきた。
「あ、ゆづ」
「どこか行ってたの？」
「うん、友達とご飯食べに……」
すると、真横に立ったゆづはじっと私を見下ろしてきた。
「……なにかな？」
「それはこっちの台詞。なにがあった？」
「―――え？」
すべてを見透かすような、綺麗な黒い瞳に私が映っている。
「な、なにもないよ……」
清廉なこの人に、これ以上恋愛のごたごたを知られたくなかった。
「手が震えてる」
「これは……その……。寒いから！ 寒くて、手がかじかんだだけ」
咄嗟に、震えている手をもう片方の手で押さえる。
自分でも気づかなかった。
「じゃあ、カーディガンのボタンが取れているのは？」
「……………」
どうして、そう目敏いのかな。
「えっと……。どこかで引っかけたんだと思う」
「首元を？」
「……うん、たぶん」
ゆづのまっすぐな視線に耐えきれず、私は下を向く。
「―――A」
「う、うん」
「言いたくないなら、べつにいい」
「……………」
「でも、困っていることがあるなら、一人で抱え込むなよ。俺はAの友達なんだから」
「……ゆづ……」
泣きたくなった。
弱っている心に、ゆづの優しさは効きすぎるよ。
ポン、ポンと、私の頭を撫でたゆづは、そのまま横を通り過ぎて行った。
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エミル(プロフ) - 鹿さん» いつも楽しみにしてくださり、ありがとうございます！私もこの先どう恋愛にもっていこうか、思案中です(笑)恋愛に目覚めた羽生さんがどうなるか考えるのも楽しみ。 (2022年9月19日 10時) (
レス) id: 68edaa3183 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - 冷めてますね〜＾＾こんな羽生さんがどうやって人を好きになるのかすっごく楽しみです！どんな痛い目にあうんだろ…ドキドキ！ (2022年9月19日 7時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
エミル(プロフ) - ころねさん» きっと、お料理している姿もめちゃカッコいいはず！半分こしたいという妄想(笑) (2022年9月16日 22時) (レス) id: 68edaa3183 (このIDを非表示/違反報告)
ころね(プロフ) - 羽生くんが作ったオムライス…なんて素敵なパワーワード！ (2022年9月15日 23時) (レス) @page29 id: 800fd7d527 (このIDを非表示/違反報告)
エミル(プロフ) - 璃子さん» 璃子さん、そう痛い目にあう羽生さんを書きたい！楽しみにしていてください（←自分でハードル上げる･･･汗） (2022年9月14日 21時) (レス) id: 68edaa3183 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：エミル | 作成日時：2022年8月23日 20時
