欲しい答えー３ ページ40
＜Yuzuru Side＞
「え、おいしそうじゃん」
鍋のふたを開けると、ふわっと香るおだしと味噌の香り。
にんじんとほうれん草の彩りもいいし、皮に少し焦げ目がついた鶏肉もうまそう。
「見た目だけね。がっかりするから期待しないで食べて」
お椀によそいながら、Aは肩をすくめた。
……頑なまでに、謙遜するA。なんなんだ、この自己肯定感の低さ。
疑問に思いつつ、両手でお椀を包んだ。……あったかい。
刻みねぎを散らした上にバターの欠片が乗っていて、野菜にきのこ、鶏肉と栄養バランスもいい感じ。
「いただきます」
両手を合わせてから、お箸を持つ。
「………、……」
「…………いや、そんなガン見されると、食べにくいわ」
「あ、ごめん」
真正面に座ったAがスッと視線を下げた。
その顔はテストの結果をびくびくして待つ子どもみたいだ。
そんなにマズイのか？
Aの不安が伝染したのか、俺はおそるおそるお椀に口をつけた。
「―――うん？ おいしいよ」
バターの風味とコクが味噌に合っている。ほうれん草のゆで加減もしゃきしゃきでちょうどいい。
「お世辞はいいのに」
「いや、マジでおいしいって」
「ゆづは礼儀正しいもんね。人が作ったものをおいしくないなんて言わないでしょ」
「……………」
さすがにムッとして、俺は箸を置いた。
「ねえ、なんなの？ おいしいって言ってんじゃん。俺の言葉が信じられないわけ？」
マズいものを面と向かってマズいとは言わねーけど、おいしくないものをおいしいとも言わない。
「……だって」
Aはそっぽを向くと、小さな声で続けた。
「一度もおいしいって言われたことない」
「……、……」
―――誰に？ と、聞きかけて。そんなの一人しかいないと気づく。
「元々苦手だったけど、少しでもおいしいものを食べて欲しくてお料理教室に通ったりしたんだよ。だけど、毎回ダメ出しばっかりされて……だから、自信ない」
あー、それでか。ようやくAの言動に納得できた。
「元彼は料理上手な人？」
「ううん。食事は当番制だったけど、ほとんどレトルトだった。でも、仕事で疲れているだろうし、私はそれでよかった」
「……仕事で疲れているのは、Aだって同じだろ」
自分は手を抜くくせに、Aの料理にケチをつけるのか。
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エミル(プロフ) - 鹿さん» いつも楽しみにしてくださり、ありがとうございます！私もこの先どう恋愛にもっていこうか、思案中です(笑)恋愛に目覚めた羽生さんがどうなるか考えるのも楽しみ。 (2022年9月19日 10時) (
レス) id: 68edaa3183 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - 冷めてますね〜＾＾こんな羽生さんがどうやって人を好きになるのかすっごく楽しみです！どんな痛い目にあうんだろ…ドキドキ！ (2022年9月19日 7時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
エミル(プロフ) - ころねさん» きっと、お料理している姿もめちゃカッコいいはず！半分こしたいという妄想(笑) (2022年9月16日 22時) (レス) id: 68edaa3183 (このIDを非表示/違反報告)
ころね(プロフ) - 羽生くんが作ったオムライス…なんて素敵なパワーワード！ (2022年9月15日 23時) (レス) @page29 id: 800fd7d527 (このIDを非表示/違反報告)
エミル(プロフ) - 璃子さん» 璃子さん、そう痛い目にあう羽生さんを書きたい！楽しみにしていてください（←自分でハードル上げる･･･汗） (2022年9月14日 21時) (レス) id: 68edaa3183 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：エミル | 作成日時：2022年8月23日 20時
