ケーキとワインー７ ページ34
＜Yuzuru Side＞
「……７年だよ？」
ケーキにフォークを入れながら、Aがぼそっと零す。
「７年も付き合っていたのに」
７年か、そりゃ長げーな。
「結婚の話だって出ていたのに。若い子に頼られたからって、あっさり浮気するとか信じられない」
ぱくっとケーキを食べて、ワインを飲む。
「私は、勝ち気で冷たい女だから、浮気したのも私のせいなんだって……！」
「サイテーな奴だな」
俺とは相容れそうにないわ、そいつ。
「たとえどんな理由があろうとも、浮気する奴が責められるべきであって、Aのせいなんじゃねーよ」
あっという間に空になったグラスにまたワインをついでやる。
「だよね。あー、ゆづが彼氏だったらよかったのに」
「―――え！？」
思いがけない言葉に、心臓がドキッと音を立てた。
「いや、やっぱり……彼氏はないわー。ゆづは絶対浮気しないだろうけど、恋愛には冷めてるもんね。そもそも彼氏になり得ないわ」
「……、………」
「友達としては、最高だよ」
「あ、うん、どうも」
ほめられているのか、貶されているのか……？
「二度と顔も見たくないって捨て台詞、私もだし！！ あんな男、こっちが願い下げだっていうの！」
ケーキを一口食べて、ワイン飲んで、愚痴って。ワイン飲んで……。
こいつ、お酒あんまり強くないって言っていたよな。
ピッチ早すぎじゃね？
「お水、持ってこようか？」
「いらない。ワイン、ちょうだい」
「そろそろやめときな？」
ワインのボトルを遠ざけようとすると、Aはサッと俺の手から奪い、ついに自分でグラスに注ぎ始めた。
「元彼に未練、ないんだよな……？」
「あるわけない！」
おそるおそる聞いてみたら、眉を思いきりしかめられた。
「康介なんか、大嫌い」
元彼、康介って名前なのか。
不要な情報だな、即座に記憶から抹消する。
「Aは仕事も頑張っているし、俺のこと看病してくれたり、優しいじゃん。絶対、Aを幸せにしてくれる奴が現れるよ」
失恋を慰める経験なんて初めてだから、うまく励ますことができているかわからないけど、そっとAの頭を撫でた。
「……ゆづ……」
俺の名前を小さく呟くと―――Aの大きな瞳から、ぶわっと涙が溢れた。
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エミル(プロフ) - 鹿さん» いつも楽しみにしてくださり、ありがとうございます！私もこの先どう恋愛にもっていこうか、思案中です(笑)恋愛に目覚めた羽生さんがどうなるか考えるのも楽しみ。 (2022年9月19日 10時) (
レス) id: 68edaa3183 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - 冷めてますね〜＾＾こんな羽生さんがどうやって人を好きになるのかすっごく楽しみです！どんな痛い目にあうんだろ…ドキドキ！ (2022年9月19日 7時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
エミル(プロフ) - ころねさん» きっと、お料理している姿もめちゃカッコいいはず！半分こしたいという妄想(笑) (2022年9月16日 22時) (レス) id: 68edaa3183 (このIDを非表示/違反報告)
ころね(プロフ) - 羽生くんが作ったオムライス…なんて素敵なパワーワード！ (2022年9月15日 23時) (レス) @page29 id: 800fd7d527 (このIDを非表示/違反報告)
エミル(プロフ) - 璃子さん» 璃子さん、そう痛い目にあう羽生さんを書きたい！楽しみにしていてください（←自分でハードル上げる･･･汗） (2022年9月14日 21時) (レス) id: 68edaa3183 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：エミル | 作成日時：2022年8月23日 20時
