一枚上手ー３ ページ27
＜Yuzuru Side＞
「ただ、前にも言いましたが、僕は恋愛には興味がない人間です。だから、今後も結婚するまでは男女の付き合いより、お互いの価値観のすり合わせをしていきたい。自分勝手な申し出なので、意に添わなければ断ってもらって構いません」
すると、杏南さんはにっこり笑った。
「私も同じ考えです。恋愛感情は一時的なもの。結婚相手の判断基準は尊敬できるかどうかを重要視しています。パートナーとして信頼できる人であれば、他は望みません」
「では、これからも会ってもらえますか？」
「はい、よろしくお願いします」
これで結婚に一歩近づいたかな。
自分の選択は間違っていないはずだ。
大切なのは、フィギュアスケート。そのための環境。
杏南さんは俺の考えを理解し尊重してくれる、稀有な女性。
それに……。
これまで女性には下心を含めて、少なからず好意を向けられてきたからわかる。
杏南さんは、俺を恋愛相手として見ていない。冷静に俺という人間をジャッジしようとしている。
ある意味、彼女と俺は同類なのかもしれない。
だけど、そこで湧いてくる一つの疑問。
「あの、一つ聞いても？」
「ええ」
「杏南さんは、本気で人を好きになったことがありますか？」
それは、俺が姉から受けた質問。
めずらしく、杏南さんが驚いた表情をした。
不躾かもしれないけど、気になった。
親に強制されてもないのに、家の利益になる人と結婚すると彼女は言う。パートナーとして信頼できれば、他は望まないとも。結婚に対して、ずいぶん割り切った考えだ。
「……ありますよ」
少し間があって、杏南さんは静かに答えた。
「人並みに恋愛はしてきましたから。本気で人を好きになりましたし、満たされていたときもありました」
「じゃあ、どうして？」
「さっきも言いましたよね、恋愛感情は一時的なものだって。人の心は変わる。そんなものに縋って生きたくないんです」
「……、………」
つまり、本気で好きになった人に裏切られた？ しまった、触れてはいけない話題だったか。
「いやだわ、そんな顔しないでください。過去の話です」
俺の心を見透かすような、黒い瞳。
「お互いにとってベストな関係を築きましょうね」
杏南さんに穏やかに微笑まれて。彼女は俺より一枚上手らしいと思い知った。
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エミル(プロフ) - 鹿さん» いつも楽しみにしてくださり、ありがとうございます！私もこの先どう恋愛にもっていこうか、思案中です(笑)恋愛に目覚めた羽生さんがどうなるか考えるのも楽しみ。 (2022年9月19日 10時) (
レス) id: 68edaa3183 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - 冷めてますね〜＾＾こんな羽生さんがどうやって人を好きになるのかすっごく楽しみです！どんな痛い目にあうんだろ…ドキドキ！ (2022年9月19日 7時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
エミル(プロフ) - ころねさん» きっと、お料理している姿もめちゃカッコいいはず！半分こしたいという妄想(笑) (2022年9月16日 22時) (レス) id: 68edaa3183 (このIDを非表示/違反報告)
ころね(プロフ) - 羽生くんが作ったオムライス…なんて素敵なパワーワード！ (2022年9月15日 23時) (レス) @page29 id: 800fd7d527 (このIDを非表示/違反報告)
エミル(プロフ) - 璃子さん» 璃子さん、そう痛い目にあう羽生さんを書きたい！楽しみにしていてください（←自分でハードル上げる･･･汗） (2022年9月14日 21時) (レス) id: 68edaa3183 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：エミル | 作成日時：2022年8月23日 20時
