恋愛よりもー３ ページ15
＜Yuzuru Side＞
「いつならご都合がいいですか？」
『そうですね……。２１日なら空いています。ピアノ教室は水曜日がお休みなので』
―――８月２１日……。
ごく最近、耳にしたような。
ああ、そうだ、Aの誕生日だ。
「……では、２１日にしましょう」
練習以外、特に予定は入っていないし、問題ない。
なぜ、一瞬、俺は躊躇したんだろ。
「もしよければ、こちらでお昼にお店の予約をしておきます」
手元にある杏南さんの写真を見ながら、夜に会うのは時期尚早だと判断し、昼食を提案する。
『私はそれで構いませんわ』
「じゃあ、お店の場所はメッセージで送りますね」
そう伝えて、俺は早々に電話を切った。
写真をパタンと閉じて、チェストの上にポイっと投げ置く。
なんか、疲れた。
杏南さんは教養のある大人の女性で気遣いもできるし、話も合う。
だけど、心を許していい人かどうかは別。彼女自身も打ち解けやすい感じではないから、見定めるまで時間はかかりそうだ。
ソファにゴロンと寝転がり、顔の上で腕を交差する。
少し、体が怠い。
目をつぶると、すぐに睡魔が襲ってきた。
―――キィ……、バタン。
かろうじて繋ぎ止めていた意識が、隣室のドアが開閉される音を聞きつける。
A、今、帰ってきたんだ……。
友達になった日、Aからお礼のメッセージが届いて、それに返事をして以来連絡は取り合っていない。
少し強引だったかなと、自分の行動を省みる。
敬語なしはいいとしても、いきなり呼び捨ては距離ナシだったか。
下手すると、女に慣れた奴だと思われたかも。
久しぶりに納得のいくジャンプが跳べて、ハイテンションだったせいもあるけど。新しい友達にワクワクしているなんて、小学生みてーじゃん。
不思議なもので、これまで気にもかけていなかった隣室から微かに漏れる生活音がやけに耳につくようになった。
朝は８時前に出て、帰宅はだいたい２０時頃。
毎晩残業してる。
ちゃんと休めているんだろうか。また体調崩して倒れたりしないか心配だ。
あんまり無理するなって、メッセージ送っておく？
いや、俺、母親かよ。
ひとりでツッコミながら、……次第に頭に靄がかかってくる。
寝るなら、ベッドいかなきゃ。
ソファで寝ると、体に負担がかかってしまう……。
わかっているのに、鉛のように体が重くて。
俺は、ゆっくりと意識を手放した。
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エミル(プロフ) - 鹿さん» いつも楽しみにしてくださり、ありがとうございます！私もこの先どう恋愛にもっていこうか、思案中です(笑)恋愛に目覚めた羽生さんがどうなるか考えるのも楽しみ。 (2022年9月19日 10時) (
レス) id: 68edaa3183 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - 冷めてますね〜＾＾こんな羽生さんがどうやって人を好きになるのかすっごく楽しみです！どんな痛い目にあうんだろ…ドキドキ！ (2022年9月19日 7時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
エミル(プロフ) - ころねさん» きっと、お料理している姿もめちゃカッコいいはず！半分こしたいという妄想(笑) (2022年9月16日 22時) (レス) id: 68edaa3183 (このIDを非表示/違反報告)
ころね(プロフ) - 羽生くんが作ったオムライス…なんて素敵なパワーワード！ (2022年9月15日 23時) (レス) @page29 id: 800fd7d527 (このIDを非表示/違反報告)
エミル(プロフ) - 璃子さん» 璃子さん、そう痛い目にあう羽生さんを書きたい！楽しみにしていてください（←自分でハードル上げる･･･汗） (2022年9月14日 21時) (レス) id: 68edaa3183 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：エミル | 作成日時：2022年8月23日 20時
