緊張の無駄使い−８ ページ33
どうして、女性のウォークインクローゼットを許可なく開けるかな。結弦くんは紳士だと思って油断していた。
「すげー、シニアデビュー後のは全部揃ってるじゃん」
雑誌の背表紙を指でなぞりながら、感嘆の声を漏らす。
「あ、新聞も切り抜いてファイルしてくれてるんだー」
「………………」
まるで一枚一枚服を脱がされて、裸にされているようだ。
恥ずかしすぎて、消えてしまいたい。
でも、結弦くんが上機嫌になっているから、ここはよしとするべきなのかな……。
「あれ、こっちの箱はなに？」
棚の横に置いていた白いボックスを結弦くんが抱えあげた。
「わ、それは本当に、ダメ―――」
手を伸ばして奪い返そうとするけど、サッと避けられる。
「勝手に見ないでよ！」
「へー、俺を傷つけたくせに、隠し事までするんだ」
「そんな……」
ズルい言い方をされて、口ごもる。
「謝るなら言葉だけじゃなくて、それなりの誠意を示してくれないと」
「……、………」
「中身、見ていいよね？」
「好きにすれば」
どうせ抵抗したところで、箱は結弦くんの手の中だもん。
私は渋々、了承した。
「ふふ、ありがと」
なにが、ありがと、よ。
そんな可愛い顔でにこっとしても、中身はドＳなことバレてるんだからね。
「―――お、これは……」
箱のふたを開けた結弦くんがさっそく手に取ったのは、薄いブルーの封筒。
「この文章、めっちゃ悩みながら書いたんだよなー」
と、手紙を読み返している。
自分の書いたラブレターとか恥ずかしくないのかな……。と、遠巻きに思っていたら、結弦くんの表情がふっと曇る。
「ところどころ、インクが滲んでるね……」
便箋から顔を上げた結弦くんが静かな眼差しを私に向ける。
「泣いた跡？」
ときどき、この人の鋭い観察眼にびっくりしてしまう。
「ごめん、苦しめて……」
綺麗な指先で頬を撫でられる。
過ぎたことなのに、結弦くんの瞳はあのときの私の辛かった思いを映して、切なく揺れている。
「結弦くんのせいじゃないでしょ」
結弦くんは、感受性が鋭敏で、繊細すぎる。
どう考えてもあのときは私が悪かった。
それでも、結弦くんは優しいから、私のせいにしたりしない。自分を責めている。
「今は幸せだし、この手紙は私の宝物だから」
大丈夫という気持ちを伝えたくて、結弦くんの瞳としっかり見つめて笑うと、結弦くんも微笑み返してくれた。
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エミル(プロフ) - 鹿さん» アレは……好き勝手書いておきながらですが、恥ずかしくて読み返せません(笑)とりあえず、羽生さんに土下座します。鹿さんの作品も大好きなので、ずっと書いて欲しいです！ (2022年4月30日 20時) (
レス) id: 68edaa3183 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - アレなシーンお疲れさまです！もう、悶えました（笑）リアルすぎて！もう、もう、人様の作品は読んでて楽しいです＾＾永遠に書いててほしいです！ (2022年4月30日 10時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
エミル(プロフ) - ころねさん» ラブラブ、喜んでもらえてよかったです(^^♪ 私もこの場面を書くのに久々にニースロミオを鑑賞しました♡ (2022年4月22日 22時) (レス) @page20 id: 68edaa3183 (このIDを非表示/違反報告)
ころね(プロフ) - ラブラブ楽しいです！癒やされます。永遠に続いて欲しいくらいです(♡‿♡)そしてニースロミオを見たくなりました！ (2022年4月21日 23時) (レス) id: 800fd7d527 (このIDを非表示/違反報告)
エミル(プロフ) - 璃子さん» 勢いで書いてしまいました(笑)しばらくはラブラブです♡ (2022年4月20日 21時) (レス) id: 68edaa3183 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：エミル | 作成日時：2022年3月26日 21時
