雨上がりの前に−１ ページ14
その日は、朝から雨の雫が窓を濡らしていた。
一泊分のスキンケアとお化粧品、夜を過ごすための部屋着……お泊り用の荷物を大きめのトートバッグに詰めていく。
「あとは、と……」
ベッドの上に置かれた、濃淡のあるピンク色の繊細な花のレースが可愛らしいブラとショーツのセットに目をやる。
真新しいそれは、この日のために購入したもの。
普段は服に響かないシンプルな下着なんだけど、少しでも結弦くんに綺麗に思われたくて。
恋人同士なら、当たり前の行為。
恥ずかしがったり、躊躇する年齢じゃない。
心配しなくても、結弦くんはきっと優しい。
だから、大丈夫。
さっきから何度も自分に言い聞かせているのに、ちっとも心は落ち着けない。
スー、ハー、と大きく深呼吸をして、私は下着を形が崩れないように、ランジェリーポーチへ入れた。
朝食も昼食もほとんど喉を通らないまま、家を出る時間が迫ってくる。
いつものように地下鉄で結弦くんのところへ行くつもりで準備をしていたのだけど……。
「―――だから、大丈夫だってば」
家を出る直前でかかってきた結弦くんからの電話。昼頃から激しくなった雨足を心配した結弦くんが家に迎えに来ると言い張る。
『外、見た？ 土砂降りだよ。今日は荷物も多いし、地下鉄からも結構距離あるでしょ』
「ん、でも……」
部屋のカーテンの隙間から外の様子を覗うと、確かに地面を叩きつける雫が見える。おまけに遠くからは雷鳴も響いていた。
「タクシーで行くよ」
『なんで、俺が迎えに行くって言ってんじゃん』
ムッとした口ぶりで返される。
「誰かに見られたらいけないから」
土曜日の昼間、隣りの病院との境に塀があるとはいえ、ひっきりなしに患者さんが出入りしている。
『見られたっていい』
「え？」
『後ろ暗いことをしているわけじゃないのに、こそこそしたくない』
「……だけど」
『付き合っているのが俺じゃなかったら、Aは素直に甘えた？』
結弦くんは、少し沈んだ声で問うてきた。
「……それは……、……」
『おおっぴらに手を繋いでデートするとかは無理だけど、彼女の家に迎えに行くぐらいはさせてよ』
私が答えに迷っている間に、結弦くんは懇願するように言う。
『責任は俺が持つ。Aはなにも心配しなくていい』
「……うん、わかった」
力強く揺るぎない口調に私は了承するしかなかった。
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エミル(プロフ) - 鹿さん» アレは……好き勝手書いておきながらですが、恥ずかしくて読み返せません(笑)とりあえず、羽生さんに土下座します。鹿さんの作品も大好きなので、ずっと書いて欲しいです！ (2022年4月30日 20時) (
レス) id: 68edaa3183 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - アレなシーンお疲れさまです！もう、悶えました（笑）リアルすぎて！もう、もう、人様の作品は読んでて楽しいです＾＾永遠に書いててほしいです！ (2022年4月30日 10時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
エミル(プロフ) - ころねさん» ラブラブ、喜んでもらえてよかったです(^^♪ 私もこの場面を書くのに久々にニースロミオを鑑賞しました♡ (2022年4月22日 22時) (レス) @page20 id: 68edaa3183 (このIDを非表示/違反報告)
ころね(プロフ) - ラブラブ楽しいです！癒やされます。永遠に続いて欲しいくらいです(♡‿♡)そしてニースロミオを見たくなりました！ (2022年4月21日 23時) (レス) id: 800fd7d527 (このIDを非表示/違反報告)
エミル(プロフ) - 璃子さん» 勢いで書いてしまいました(笑)しばらくはラブラブです♡ (2022年4月20日 21時) (レス) id: 68edaa3183 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：エミル | 作成日時：2022年3月26日 21時
