一緒にいてよ−１ ページ1
結弦くんが泊まる部屋の前で、私は目をつぶって、瞼の裏にある蒼の残像を記憶の片隅に仕舞う。
蒼は最後まで笑顔だった。
傷ついた素振り一つ見せないのは、彼の優しさ。
結弦くんを好きな気持ちは揺るがないけど、やっぱり切ない。
蒼は、大切な人だから……。
「ふー、……よし」
両頬を手のひらでパンと叩いて、心を入れ替える。
結弦くんは察しがいいから、悟られないようにしなきゃ。
キーを持っていない私は、チャイムを押す。
すぐにドアが開くと―――腕を引かれて、声を上げる間もなく……私は、甘い香りとぬくもりに包まれた。
「……、……結弦、くん？」
急激に上がる体温と、うるさいほど高鳴る心臓。
「どうしたの……？」
「ん、なんでもない」
そんな言葉とは裏腹に、私の体にまわされた腕の力は強くなるばかりで、いきなりの出来事に少し戸惑う。
蒼の前では余裕たっぷりな態度だったけど……。
結弦くんも、不安だったのかな。
細身なわりに逞しい胸板から聞こえる、結弦くんの心音は私と同じくらい早くて。……私も、結弦くんの背中に腕をまわした。
「……好きだよ、A」
体を少し離した結弦くんは、額と額を合わせてくる。
まっすぐな睫毛と、憂いを含んだ黒い瞳。
見つめられる気恥ずかしさにうつむこうとしたら―――結弦くんの唇がこれ以上にないぐらい優しく重なった。
少しかさついた唇の感触に、十年前の一度だけのキスが甦ってくる。
あのときより、ずっと、ずっと、好き。
触れるだけのキスに、薄く目を開けた結弦くんは、
「―――全然、足りない」
と、呟いた。
刹那、肩を壁に押し付けられる。
「ゆ、ゆづ……」
「黙って」
間近にある艶めいた黒い瞳に、ドキッとした。
優しいだけじゃない、結弦くんの男としての顔。
何度も角度を変えて触れてくる唇は次第に熱っぽくなって、結弦くんに心がキュッと掴まれたみたいに苦しい。
苦しいのに、幸せで……。
結弦くんを感じるのに精一杯で、なんにも考えられない。
うまく息継ぎができない私が酸欠になりそうなところで、唇が離れていく。
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エミル(プロフ) - 鹿さん» アレは……好き勝手書いておきながらですが、恥ずかしくて読み返せません(笑)とりあえず、羽生さんに土下座します。鹿さんの作品も大好きなので、ずっと書いて欲しいです！ (2022年4月30日 20時) (
レス) id: 68edaa3183 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - アレなシーンお疲れさまです！もう、悶えました（笑）リアルすぎて！もう、もう、人様の作品は読んでて楽しいです＾＾永遠に書いててほしいです！ (2022年4月30日 10時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
エミル(プロフ) - ころねさん» ラブラブ、喜んでもらえてよかったです(^^♪ 私もこの場面を書くのに久々にニースロミオを鑑賞しました♡ (2022年4月22日 22時) (レス) @page20 id: 68edaa3183 (このIDを非表示/違反報告)
ころね(プロフ) - ラブラブ楽しいです！癒やされます。永遠に続いて欲しいくらいです(♡‿♡)そしてニースロミオを見たくなりました！ (2022年4月21日 23時) (レス) id: 800fd7d527 (このIDを非表示/違反報告)
エミル(プロフ) - 璃子さん» 勢いで書いてしまいました(笑)しばらくはラブラブです♡ (2022年4月20日 21時) (レス) id: 68edaa3183 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：エミル | 作成日時：2022年3月26日 21時
