勝ち目はない−１ ページ46
※この章は蒼目線になっています。
＜Aoi Side＞
信号が青に変わると、足止めされていた人たちが一斉にスクランブル交差点に流れて行く。
東京の人間は歩くのがやたら早い。
と、旅行や出張で来るたび感心していたのに、暮らして二週間も経てば自分もその癖が身についているから、不思議だ。
俺は、ガラス張りの高層ビルに映るオレンジ色の夕日を見上げた。
今日は早朝からゴルフで、一度家に戻り休むことはできたものの、全身が怠い。接待先と上司に囲まれて、気疲れもある。
それなのに……。わざわざ、元カノの好きな奴に会いに行こうとしている自分。
正気の沙汰じゃないよなぁ。
嫌な気持ちになるのは、目に見えているのに。
Aに対して過保護になってしまうのは、昔からだ。
だって、やっぱり、心配だし……。
今回、相手の男と会うのにAが指定してきたのは、横浜でもハイクラスのホテル。
なんで、仙台ではなく、横浜？
地元じゃ不都合なのか？
東京にいる俺に気を使ったのかと思ったけど、ホテルのラウンジとかじゃなく、その男が宿泊する部屋というのがね……。どうも人目を避けている気がしてならない。
そういや、以前、Aがそいつの車に乗り込むのを見かけた話をしたとき、Aが一番に気にしたのは俺がその男の顔を見たかどうかだった。
顔を知られたら、マズイ訳があるってこと……？
……不倫。
どうしてもそこに答えが行きついてしまう。
大学時代からその男の話は、何度かAから聞いている。
正直、印象は悪い。
夢を叶えるために海外へ行く。それ自体は結構なことだ。
でも、だからって、Aを振り回していいわけじゃない。
思わせぶりな態度でAの気を引くくせに、肝心なときは突き放す。
帰国も知らせず、Aと会おうもしないと聞いて、不誠実さに腹が立ってしょうがなかった。
十代の頃からそういう中途半端な奴だから、再会した後も既婚者のくせにAを都合よく扱っているんじゃないか。
それで、Aは情緒不安定になって、俺に頼ってきた。そう考えれば、辻褄が合う。
別れた俺に口を挟む権利はないとわかっていても、放っておけない。
まだ、好きだから。
Aの心にどう届いているかなんて、俺には見えない。
恰好悪いと、他人に笑われたって構わない。
愛し方なんて、人それぞれだ。
相手を手に入れることだけが、愛する方法じゃない。
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エミル(プロフ) - 澪さん、いつも好きコメントくださり、嬉しいです(*´ω｀*) 色気のある羽生さんを想像しながら書く自分はちょっと……ですが、引き続き萌えてもらえるよう頑張りますね。 (2022年3月25日 22時) (
レス) id: 68edaa3183 (このIDを非表示/違反報告)
エミル(プロフ) - Isolaさん» Isolaさん、コメントありがとうございます。蒼目線のお話、需要あるのかなーと不安だったので、褒めてもらえて嬉しい〜♡ ラブラブな二人、ご期待に沿えるよう頑張ります！これからもよろしかったら、お付き合いくださいませ。 (2022年3月25日 22時) (レス) id: 68edaa3183 (このIDを非表示/違反報告)
澪(プロフ) - すきぃぃぃい！エミルさんが書く羽生さん色気ダダ漏れでめっちゃ好きです！ (2022年3月24日 23時) (レス) @page50 id: 8e648ea481 (このIDを非表示/違反報告)
Isola(プロフ) - いつも楽しく読ませてもらってます！蒼さん目線での話の進行とても良かったです。羽生さんはもちろん主人公や蒼さんのキャラクターがよりクリアになって素晴らしかったです！早くラブラブな二人が読みたいっっ笑 (2022年3月24日 23時) (レス) @page50 id: 397f4569c5 (このIDを非表示/違反報告)
エミル(プロフ) - さくらこ29504号さん» さくらこ29504号さん、コメントありがとうございます！羽生さんの色気は表現できないぐらいですけど、少しでも感じてもらえたら嬉しいです(*´▽｀*)更新、頑張ります！ (2022年3月24日 21時) (レス) id: 68edaa3183 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：エミル | 作成日時：2022年2月17日 21時
