幸せを願う−１ ページ37
＜Yuzuru Side＞
春めいた風がふわりと窓から入り込んで、カーテンを揺らす。
空気の入れ替えのために開け放した窓から外に目をやると、数名の真新しい制服を着た学生が歩いて行くのが見えた。
マンションがある学区には、俺とAが通った中学校があって、通学風景に懐かしさが胸を掠める。
中学の三年間、同じ校舎にいてもその存在をほとんど意識していなかったのに、高校になってからのあの図書館で出会ったわずかな時間が俺たちの運命を決めた。
なーんて……ちょっとセンチメンタルすぎるか。
窓を閉めて、カーテンを引く。
昨日まで仕事でしばらく家を離れていたから、なんとなく埃っぽく感じる。今日は念入りに掃除しよ。
玉子かけご飯だけの軽めのお昼を済ませたところで、キッチンカウンターに置いていたスマホから軽快な着信音が流れた。
『あ、ゆづ。今いい？』
独特のイントネーションとほわっとした声の主は、信くんだ。
「いいけど、どうしたの？」
片手でスマホを耳に当てて、もう片方の手で茶碗を流しに運びながら、俺は尋ねる。
『この前、ゆづに出演してもらったYouTubeチャンネル、視聴回数がめっちゃすごいことになってんねん。なんと、一週間で500万回超え！』
「……それ、すごいの？」
『もー、これだからゆづは……』
と、信くんは呆れ気味にどのくらいすごいかを語ってくれる。
『世界中からコメントが届いてる。ゆづの人気ってワールドワイドやなって改めて思ったわ』
「へー」
スケート滑ってる動画ならともかく、あれ、信くんとただしゃべっているだけだよ。物好きな人が多いんだな。
『ファンのためにもうちょっと露出増やせばええのに。みんな、それだけゆづを求めてるってことなんやで』
「……うーん」
もちろん、ファンの皆さんの気持ちは嬉しいけど。スケート以外でメディアに出るのは本意じゃない。
『ま、俺がどうこう言おうと、ゆづは頑固やから方針は変えへんよね』
「まあね」
『今度、会ったときにお礼するわ。ご飯奢りたいところやけど、あんま興味ないやろ。他に欲しいもんとかある？』
「えー、いいよ。お礼よりも、寄付するかスケートの発展のために使って」
『相変わらず、無欲やなぁ。どこまで人格者なん』
……無欲。
それは、違う。
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エミル(プロフ) - 澪さん、いつも好きコメントくださり、嬉しいです(*´ω｀*) 色気のある羽生さんを想像しながら書く自分はちょっと……ですが、引き続き萌えてもらえるよう頑張りますね。 (2022年3月25日 22時) (
レス) id: 68edaa3183 (このIDを非表示/違反報告)
エミル(プロフ) - Isolaさん» Isolaさん、コメントありがとうございます。蒼目線のお話、需要あるのかなーと不安だったので、褒めてもらえて嬉しい〜♡ ラブラブな二人、ご期待に沿えるよう頑張ります！これからもよろしかったら、お付き合いくださいませ。 (2022年3月25日 22時) (レス) id: 68edaa3183 (このIDを非表示/違反報告)
澪(プロフ) - すきぃぃぃい！エミルさんが書く羽生さん色気ダダ漏れでめっちゃ好きです！ (2022年3月24日 23時) (レス) @page50 id: 8e648ea481 (このIDを非表示/違反報告)
Isola(プロフ) - いつも楽しく読ませてもらってます！蒼さん目線での話の進行とても良かったです。羽生さんはもちろん主人公や蒼さんのキャラクターがよりクリアになって素晴らしかったです！早くラブラブな二人が読みたいっっ笑 (2022年3月24日 23時) (レス) @page50 id: 397f4569c5 (このIDを非表示/違反報告)
エミル(プロフ) - さくらこ29504号さん» さくらこ29504号さん、コメントありがとうございます！羽生さんの色気は表現できないぐらいですけど、少しでも感じてもらえたら嬉しいです(*´▽｀*)更新、頑張ります！ (2022年3月24日 21時) (レス) id: 68edaa3183 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：エミル | 作成日時：2022年2月17日 21時
