二文字の重み−８ ページ34
＜Yuzuru Side＞
「あの男を信頼しているのが面白くなかっただけ」
「……………」
「Aが自責の念を感じるのはわかる。俺たちのやっていることは人の道を外れているのかもしれないけど、俺は自分の気持ちに恥ずべき点は一つもない」
恋って、もっと純潔なものだと思っていた。
おとぎ話のように愛し合う二人が結ばれたらハッピーエンド、みたいな。ドロドロした感情も嫉妬も、無縁の世界。
でも、現実の恋愛は、綺麗事ばかりじゃない。
「誰かに糾弾されるなら、俺も一緒に受ける。Aが罪悪感で押し潰されそうになるなら、俺も背負う。そのくらいの覚悟は持ってる」
自分の醜い部分を思い知って、もがき苦しんでも。誰かを傷つけても。
愛したい人がいる、それが恋なんだ。
「Aは逃げるの得意だけど、俺からは逃げられないよ。そっちが俺を嫌になっても、俺は一生手放すつもりねーから」
「う、うん」
俺の勢いに吞まれたように、Aは小さく答えると頬を両手で覆ってうつむいた。
やば、ちょっと攻めすぎたか。
あれぐらい強く言い聞かせておかないと、Aがまた勝手な妄想で不安に陥ってしまいそうだし……と、Aの様子を窺うと―――
指の隙間から覗く肌が真っ赤だった……。
あ、そっち……。
よく考えたら、「一生手放すつもりない」とか、プロポーズに近い。蒼って奴のこと言えねーじゃん。
「……、………」
「……………」
二人して頬を赤らめて、沈黙した。
「それじゃ、また連絡するから」
「うん」
家まで送ると申し出たけど、タクシーで帰ると言い張るので、Aを玄関先まで見送る。
まあ、この時間帯だとAのご両親も起きているだろうし、Aんちの前の道路は人通りが多いから、人目につく心配はあった。
「結弦くん」
「ん？」
「……あの、ありがとう」
「なにが？」
「昨日、迎えに来てくれたこと。私の暴走を止めてくれたこと。朝、引き留めてくれたことも、こうしてまた一緒にいてくれることも……全部、ありがとう」
「うん」
好きだから当然と、口にしかけて。また二人で赤面するハメになりそうで、やめる。
「私ね……」
ヒールがあるせいでAの澄んだ瞳がいつもより近くにあって、
「結弦くんが大好き。―――それじゃ、ね」
見惚れているうちに、玄関のドアは閉まっていた。
……こんな不意打ち、反則だろ。
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エミル(プロフ) - 澪さん、いつも好きコメントくださり、嬉しいです(*´ω｀*) 色気のある羽生さんを想像しながら書く自分はちょっと……ですが、引き続き萌えてもらえるよう頑張りますね。 (2022年3月25日 22時) (
レス) id: 68edaa3183 (このIDを非表示/違反報告)
エミル(プロフ) - Isolaさん» Isolaさん、コメントありがとうございます。蒼目線のお話、需要あるのかなーと不安だったので、褒めてもらえて嬉しい〜♡ ラブラブな二人、ご期待に沿えるよう頑張ります！これからもよろしかったら、お付き合いくださいませ。 (2022年3月25日 22時) (レス) id: 68edaa3183 (このIDを非表示/違反報告)
澪(プロフ) - すきぃぃぃい！エミルさんが書く羽生さん色気ダダ漏れでめっちゃ好きです！ (2022年3月24日 23時) (レス) @page50 id: 8e648ea481 (このIDを非表示/違反報告)
Isola(プロフ) - いつも楽しく読ませてもらってます！蒼さん目線での話の進行とても良かったです。羽生さんはもちろん主人公や蒼さんのキャラクターがよりクリアになって素晴らしかったです！早くラブラブな二人が読みたいっっ笑 (2022年3月24日 23時) (レス) @page50 id: 397f4569c5 (このIDを非表示/違反報告)
エミル(プロフ) - さくらこ29504号さん» さくらこ29504号さん、コメントありがとうございます！羽生さんの色気は表現できないぐらいですけど、少しでも感じてもらえたら嬉しいです(*´▽｀*)更新、頑張ります！ (2022年3月24日 21時) (レス) id: 68edaa3183 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：エミル | 作成日時：2022年2月17日 21時
