二文字の重み−２ ページ28
「……黙って、出て行くんだ」
肩がビクッと震えた。
まったく気配を感じなかった。いつの間に……。
一瞬、迷ったけど、ここで振り返ったらダメになってしまう気がして。
私はドアノブに手をかけると、ドアを開けた。
「―――逃げんな！」
低く鋭い声に、動きを止める。
「もう、逃げんなよ」
「……、……結弦くん」
観念した私は静かにドアを閉めて、結弦くんと向き合う。
「……起きてたんだ」
「Aが隣りの部屋にいるのに、ぐーすか眠れるほど無神経じゃない」
ぴしゃりと言い切った結弦くんが距離を詰めてくるから、その険しい表情に……私は、つい後ずさりをしてしまう。といっても、すぐドアがあるから逃げようもないのだけど。
すると、結弦くんの眉間の皺が一層深くなった。
「Aは、いっつもそうやって俺から逃げる」
「……………」
「なんで、ちゃんと俺と向き合ってくれんの？」
悔しそうな結弦くんの声音に、私はうつむく。
「黙って出て行かれて、俺がどんな気持ちになるかわからない？」
「……もう話したくないんじゃないかなと思ったし、これ以上迷惑かけたくないから」
「迷惑とか、話したくないとか。俺、そんなこと言ってないでしょ。憶測で決めつけんなよ」
「……だって……」
昨夜、拒絶されたことを思い出して、私は胸が苦しくなる。避けられて当然だとわかっていても、やっぱりすごくショックだった。
「もし、昨日の夜のことを言ってるなら―――」
私の心の内を見透かす結弦くんの言葉に、ギクリとする。
「違うから」
……違う？
「あのまま雰囲気に流されたら、あとで後悔するのはAだと思った。俺に対しても、彼氏に対しても、罪の意識を持つだろ。Aに苦しんで欲しくないから」
結弦くんは、噛んで含めるように言う。
そのとおりだ。
勢いで行動して、何度後悔した？
聡明な結弦くんは先を見越したうえで、私のことを思って行動してくれていた。
なのに、私は……。
子どもみたいに拗ねて、本当に嫌になる。
自分と結弦くんを比較しても、しょうがないけど。どうやったって、結弦くんとは対等にはなれないんだ。
ぐっと奥歯を噛みしめる。
泣きたくない。
結弦くんに相応しくなれない私だけど、せめて困らせたくない。
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エミル(プロフ) - 澪さん、いつも好きコメントくださり、嬉しいです(*´ω｀*) 色気のある羽生さんを想像しながら書く自分はちょっと……ですが、引き続き萌えてもらえるよう頑張りますね。 (2022年3月25日 22時) (
レス) id: 68edaa3183 (このIDを非表示/違反報告)
エミル(プロフ) - Isolaさん» Isolaさん、コメントありがとうございます。蒼目線のお話、需要あるのかなーと不安だったので、褒めてもらえて嬉しい〜♡ ラブラブな二人、ご期待に沿えるよう頑張ります！これからもよろしかったら、お付き合いくださいませ。 (2022年3月25日 22時) (レス) id: 68edaa3183 (このIDを非表示/違反報告)
澪(プロフ) - すきぃぃぃい！エミルさんが書く羽生さん色気ダダ漏れでめっちゃ好きです！ (2022年3月24日 23時) (レス) @page50 id: 8e648ea481 (このIDを非表示/違反報告)
Isola(プロフ) - いつも楽しく読ませてもらってます！蒼さん目線での話の進行とても良かったです。羽生さんはもちろん主人公や蒼さんのキャラクターがよりクリアになって素晴らしかったです！早くラブラブな二人が読みたいっっ笑 (2022年3月24日 23時) (レス) @page50 id: 397f4569c5 (このIDを非表示/違反報告)
エミル(プロフ) - さくらこ29504号さん» さくらこ29504号さん、コメントありがとうございます！羽生さんの色気は表現できないぐらいですけど、少しでも感じてもらえたら嬉しいです(*´▽｀*)更新、頑張ります！ (2022年3月24日 21時) (レス) id: 68edaa3183 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：エミル | 作成日時：2022年2月17日 21時
