雪の果て−１１ ページ19
『質問変えようか。A、なにがあった？』
「………、……」
指もつま先も感覚がないぐらい寒いのに、よくわからない汗が薄っすらと滲んできた。
「……なにも、ないよ。大丈夫」
声が震えないよう、地面を両足でしっかり踏みしめる。
だけど、電話の向こうで結弦くんはフッと鼻で笑う。
『Aの声、全然大丈夫じゃない』
「……………」
『俺に嘘つかなくていい』
……結弦くん……。
優しい声に、心が揺さぶられる。
「本当に、大丈夫だから。もう切るね」
その優しさに頼る資格は、今の私にはない。
『……切るな』
「……、………」
『どこにいるか、答えて』
電話を切ってしまえばいい。
簡単なこと。
その瞬間、結弦くんとの関係は途切れる。
早く、切らなきゃ。
なのに、私はただ立ち尽くすだけで、指一つ動かせない。
『A、答えろ』
私は……目をつぶり、公園の場所を結弦くんに伝えた。
抗えなかったわけじゃなく、抗うのをやめた。
『わかった、迎えに行く。絶対にそこを動くな』
結弦くんはすぐさまそう告げると、プツッと通話が切れた。
私は脱力して、その場にしゃがみ込む。
音もなく降り積もる雪の白さを眺めていると、自分がすごく穢れている気がしてきた。
声だけ聴ければいいなんて、詭弁もいいところ。
結弦くんに会いたかったくせに。
察しのいい結弦くんが私の様子に気づくのは予想ができたことだ。
あわよくば会えるんじゃないかと……期待しなかったって言える？
見て見ぬふりをしていた、自分の心。
これが蒼を裏切る行為だと知りながら、結弦くんに会いたい気持ちを抑えられなかった。
私は、弱いだけじゃなく、ズルい人間だ。
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エミル(プロフ) - 澪さん、いつも好きコメントくださり、嬉しいです(*´ω｀*) 色気のある羽生さんを想像しながら書く自分はちょっと……ですが、引き続き萌えてもらえるよう頑張りますね。 (2022年3月25日 22時) (
レス) id: 68edaa3183 (このIDを非表示/違反報告)
エミル(プロフ) - Isolaさん» Isolaさん、コメントありがとうございます。蒼目線のお話、需要あるのかなーと不安だったので、褒めてもらえて嬉しい〜♡ ラブラブな二人、ご期待に沿えるよう頑張ります！これからもよろしかったら、お付き合いくださいませ。 (2022年3月25日 22時) (レス) id: 68edaa3183 (このIDを非表示/違反報告)
澪(プロフ) - すきぃぃぃい！エミルさんが書く羽生さん色気ダダ漏れでめっちゃ好きです！ (2022年3月24日 23時) (レス) @page50 id: 8e648ea481 (このIDを非表示/違反報告)
Isola(プロフ) - いつも楽しく読ませてもらってます！蒼さん目線での話の進行とても良かったです。羽生さんはもちろん主人公や蒼さんのキャラクターがよりクリアになって素晴らしかったです！早くラブラブな二人が読みたいっっ笑 (2022年3月24日 23時) (レス) @page50 id: 397f4569c5 (このIDを非表示/違反報告)
エミル(プロフ) - さくらこ29504号さん» さくらこ29504号さん、コメントありがとうございます！羽生さんの色気は表現できないぐらいですけど、少しでも感じてもらえたら嬉しいです(*´▽｀*)更新、頑張ります！ (2022年3月24日 21時) (レス) id: 68edaa3183 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：エミル | 作成日時：2022年2月17日 21時
