雪の果て−９ ページ17
土の香りを含んだ、澄んだ水のような雪の匂いに包まれると、堪えきれない感情が溢れてくる。
関係を断ち切ったのは私自身。
頭では理解している。
でも……。
せめて、最後に一度、声が聴きたい。
通話アプリを立ち上げた私は、かじかんだ指先で消せずにいた結弦くんの連絡先をタップした。
一言だけ、声が聴けたらそれでいい。
結弦くんが出たら、間違い電話をかけたと謝ってすぐに切ろう。
何度も呼び出し音が鳴るけど、返答はない。
今の時間なら、練習中かな。
……ううん、私からの電話に結弦くんが出るわけないじゃない。
連続して響いてくる機械音を聞いているうちに、衝動的に行動してしまった私の心が静まっていく。
どうかしてる、私……。
電話を切ると、白い息をつく。
今さら声を聴いたって、どうしようもないのに。
余計に苦しくなるだけなのに。
いつの間にか、肩に積もる雪の量が増えていて、ニットから冷たい水分がしみ込んでくる。
これじゃ凍死しちゃうわ。
私は、寒さで硬くなった体を励ますように膝に手をつき、ベンチから立ち上がろうとした。
と、手の中のスマホが震え出して。
途端に、私の心臓は、心拍数300、測定不可能状態でドキドキと脈打ち始める。
画面に表示されているのは、結弦くんのイニシャル。
だけど……通話ボタンをタップしようとした指が、止まる。
躊躇ってしまうのは、蒼への罪悪感と。
声を聴いたら、結弦くんへの想いが暴走しちゃうんじゃないかという不安。
出るべきじゃない。でも、結弦くんの声は聴きたい。
心の中で大きく揺れ動いているうちに、スマホの振動が止まった。
ホッとしたような、寂しいような。
これでよかったんだと納得させながら、スマホを見下ろしていると、再びパッと画面が明るくなり震え出した。
……結弦くん……。
放っておいてくれたらいいのに。自分勝手な考えが頭をよぎるけど。
この機会を逃せば、結弦くんと話すチャンスなんて一生ないかもしれない。―――そう思ったら、着信ボタンを押していた。
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エミル(プロフ) - 澪さん、いつも好きコメントくださり、嬉しいです(*´ω｀*) 色気のある羽生さんを想像しながら書く自分はちょっと……ですが、引き続き萌えてもらえるよう頑張りますね。 (2022年3月25日 22時) (
レス) id: 68edaa3183 (このIDを非表示/違反報告)
エミル(プロフ) - Isolaさん» Isolaさん、コメントありがとうございます。蒼目線のお話、需要あるのかなーと不安だったので、褒めてもらえて嬉しい〜♡ ラブラブな二人、ご期待に沿えるよう頑張ります！これからもよろしかったら、お付き合いくださいませ。 (2022年3月25日 22時) (レス) id: 68edaa3183 (このIDを非表示/違反報告)
澪(プロフ) - すきぃぃぃい！エミルさんが書く羽生さん色気ダダ漏れでめっちゃ好きです！ (2022年3月24日 23時) (レス) @page50 id: 8e648ea481 (このIDを非表示/違反報告)
Isola(プロフ) - いつも楽しく読ませてもらってます！蒼さん目線での話の進行とても良かったです。羽生さんはもちろん主人公や蒼さんのキャラクターがよりクリアになって素晴らしかったです！早くラブラブな二人が読みたいっっ笑 (2022年3月24日 23時) (レス) @page50 id: 397f4569c5 (このIDを非表示/違反報告)
エミル(プロフ) - さくらこ29504号さん» さくらこ29504号さん、コメントありがとうございます！羽生さんの色気は表現できないぐらいですけど、少しでも感じてもらえたら嬉しいです(*´▽｀*)更新、頑張ります！ (2022年3月24日 21時) (レス) id: 68edaa3183 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：エミル | 作成日時：2022年2月17日 21時
