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<Yuzuru Side>
数年ぶりの再会なのに、いきなり部屋に連れ込んで……というのは、自分でもせっかちすぎると思う。
本当は離れていた間のお互いの話をしたり、もっとゆっくり距離を縮めるつもりだったのに。
可愛すぎることを言うAに理性はやられた。
寝室のベッドに横たえたAは最初こそガチガチに緊張していたけれど、様子を見ながら丁寧に愛撫を繰り返すと、少しずつ体の力が抜けていった。
「……ん、……ゆづくん……」
俺が与えた刺激に、艶っぽい声を漏らす。
のけぞる細い首筋、丸みのあるしなやかな体。
薄っすらと目を細めて俺を見上げるその表情は扇情的で、ぞくりとする。
誰の手でこんなに色っぽくなったんだろう?
嫌な思考が頭をよぎるけど、なめらかな口づけになにも考えられなくなった。
甘い吐息と狂おしいほどの熱の中で体を重ねて繋がり合う。
離れていた時間と感情を埋めるように、俺は何度も愛しい想いをAの体に刻みつけた。
「……も、……無理……」
立て続けに何度かした後、肘をついて上半身を起こすと、下にいるAは荒い呼吸を繰り返していた。
「大丈夫?」
「………」
……睨まれた。
まあそんな表情も俺にとっては可愛いだけなんだけど。
俺はAの首筋に顔を埋めると、汗で湿った肌と肌をぴったりくっつけるように、覆いかぶさる。
「……ゆづくん……重い……」
「ん、あとちょっとだけ」
文句言っていても、Aは素直に俺の首に腕をまわして、俺の髪をそっと梳くように撫でてくれる。
甘い匂い、柔らかくて、あったかい。
目が眩むほどの、幸せ。
カーテンからは差し込んでくるオレンジ色の光に目を開ける。
あのまま寝ちゃったのか。
情事後の独特の気怠い感じを振り払うように、俺はベッドから降りた。
とりあえず、身なりを整えてリビングへ行くけど、Aの姿はどこにもなくて。一瞬、夢だったのかと心がひやりとした。
と、ガチャガチャと玄関の鍵が開く音がする。
「あ、ゆづくん、起きたの?」
パタパタと廊下を歩く足音の後、スーパーの買い物袋を手にしたAが姿を現した。
「A」
「え、ちょっと……」
いきなり俺に抱きしめられたAは、袋を提げたまま棒立ちになっている。
「急にいなくなるの、やめて」
「……うん」
会うのが久しぶりなんだから、できれば大人になった俺を見て欲しかったけど……こういうとこ、ガキだよな。
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エミル(プロフ) - くっきーさん» 短編、楽しみにしてもらえて嬉しいです!GIFT、想像をはるかに超えたショーでした。ハマりすぎて更新が滞っていますが、しばしお待ちくださいね。 (2023年3月2日 21時) (レス) id: 68edaa3183 (このIDを非表示/違反報告)
くっきー(プロフ) - やっぱりエミルさんの短編すごく素敵です!泣GIFT大成功でしたね!!これからの展開楽しみです、、 (2023年3月2日 1時) (レス) id: 95130b7885 (このIDを非表示/違反報告)
エミル(プロフ) - 璃子さん» 似通った話になりがちなので、新鮮と言ってもらえて嬉しいです(*´ω`*)ファン目線だと羽生さんのそばにいられるだけで幸せ。でも、実際に彼女になる方は大変だし我慢することも多いんだろうなって想像します。本当に幸せになって欲しいと私も思います。 (2022年4月10日 21時) (レス) id: 68edaa3183 (このIDを非表示/違反報告)
璃子(プロフ) - なんだか新鮮なお話でした。楽しく読ませて頂きました。実際お付き合いするとなったら…やはり今回の羽生さんのようにお相手を気遣って「俺といて楽しい?」とか気にしそうですよね。何にせよ幸せになって頂きたい方です。 (2022年4月10日 9時) (レス) @page23 id: a68a41f56a (このIDを非表示/違反報告)
エミル(プロフ) - 鹿さん» 鹿さん、ほっこりしていただき、ありがとうございます(*^-^*)長編がアレなので、素直な二人にしました。幸せな羽生さん、増やしたい!会見は、羽生さんらしい世界観でした。 (2022年2月14日 21時) (レス) id: 68edaa3183 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:エミル | 作成日時:2022年2月12日 22時