ほどけた絆−１０ ページ36
＜Yuzuru Side＞
夜風が濡れた前髪を揺らしていく。
肌を刺すような冷たい風は、熱いシャワーを浴びたばかりの火照った体にはちょうどよかった。
手にしたペットボトルの水を一口飲み、ふっと息を吐くと、疲れが溶けていく。
頭上を見上げれば、冴えた空気が夜空の星を一層綺麗に瞬かせていた。
やっぱ、地元は落ち着くわ。
俺は、汗がすっかり引いたところで、ベランダの窓を閉めた。
暖房をオンにして、ソファに浅く腰かけると、スマホを手にする。
A、もう家に帰ったかな。
あの素っ気ないメッセージが気にかかるけど。
「……好きだ」
熱のこもった声で呟けば、胸が愛しさで疼く。
手紙にも書いたけど、ちゃんと口で伝えたい。もちろん、電話だけじゃなくて、会ったときも言う。
……しつこいか。
でも、ここまで我慢したんだから、しつこいぐらい連呼したって許されるだろ。
画面に表示したAの名前をタップし、なにから話をしようか考えながら……コール音を数えた。
『―――もしもし』
コール音が七回鳴ったとき、Aが出る。
「あ、俺。さっき、帰ってきたところ」
『……そうなんだ』
あれ、めっちゃテンション低くね？
「えーっと、A、元気だった？」
『うん、普通』
……フツーって。
すげー、投げやりな感じ。
この前のこと、まだ怒ってんのか？
それとも、奈々ちゃんの件？
「あのさ、手紙読んでくれた？」
でも、そのどちらも二週間ぶりの電話でいきなり話題にするのは重すぎるから、ちょっと恥ずいけど、前向きな話から降ってみたんだけど、
『手紙？ ……なんのこと？』
返ってきた返事は、想定外のものだった。
「え、なにって……」
まさか、届いてない？
おかしいな。
エアメールだから、一週間程度で届くはず。
っていうか、手紙を受け取っていないってことは……俺がAを二週間放置したように思われてる？
「本当に届いてない？ ブルーの封筒なんだけど。どこかにまじって―――」
『それよりも、私、結弦くんに話があるの』
内心焦ってもう一度聞こうとしたら、Aに遮られる。
「え、うん、でも」
『先に話をしてもいい？』
続けようとした言葉はAにはね除けられた。俺にとって、あの手紙がAに届いているかどうかは、とても重要なんだけど。
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にき(プロフ) - ヒロイン思わせぶりすぎる笑熱愛報道出ても好きな相手のこと信じてやれって！笑 (2022年12月20日 2時) (
レス) @page37 id: ab0684a449 (このIDを非表示/違反報告)
エミル(プロフ) - ほびまほぷさん» ほびまほぷさん、コメントありがとうございます。ここまですれ違うかなーと思いながら書いていました(^_^;)更新楽しみにしてくださるとのこと、今後も頑張ります！ (2022年2月10日 9時) (レス) id: 68edaa3183 (このIDを非表示/違反報告)
ほびまほぷ(プロフ) - 2人がすれ違いすぎてめちゃくちゃ泣けました、、更新楽しみにしてます！ (2022年2月10日 0時) (レス) @page45 id: ab6c13b289 (このIDを非表示/違反報告)
エミル(プロフ) - 凛音さん» 凛音さん、コメントありがとうございます。もちろん、最後はハッピーエンド……のつもりです！ (2022年2月6日 19時) (レス) id: 68edaa3183 (このIDを非表示/違反報告)
凛音(プロフ) - 2人が結ばれますように…！！！ (2022年2月6日 4時) (レス) @page44 id: f2426a3f71 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：エミル | 作成日時：2022年1月14日 14時
