ほどけた絆−６ ページ32
＜Yuzuru Side＞
ふっと落ちるような感覚の揺れに、俺は目を覚ました。
機内アナウンスで着陸態勢に入ったのだと知り、眠い目をこする。
長時間のフライトで座りっぱなしだったせいで、軽い倦怠感と筋肉の凝りを感じた俺が首をまわしていると―――
「羽生さん」
座席を一つ空けて隣りに座ったマネージャーが小声で話しかけてきた。
俺はイヤホンを外してから、話を促すように顔を傾ける。
「先ほどスタッフに確認したのですが、やはり到着ロビーでマスコミが待機しているようです」
そして、寝起き早々、もたらされたのは気分の悪い情報。
「……わかりました」
イヤホンをケースにしまいながら、頭の中で対策を考える。
マスコミ向けのコメントは出来上がっているし、奈々ちゃんの事務所とも打合せ済み。
俺と奈々ちゃんは、あくまでも“フィギュアスケーター仲間”であり、トロントでのスケジュールが重なっていたのも“偶然”であること。
ホテルで会っていた理由は将来の進路について相談したいという奈々ちゃんに応じたためだが、二人で部屋にいた時間は十分たらずで報道されているような密会ではない。
海外に移住する予定はなく、今後も仙台に生活の拠点を置くこと。
つまり、交際は事実無根であり、完全否定した内容だ。
コメントを発表することで、鎮火してくれるといいけど……。
しばらくは出歩くのを控えないといけないし、Aと会うのも慎重にならざるを得ない。
あー、憂鬱だ。
機内に預けた荷物を受け取って、到着ロビーに出ると、黒縁のメガネ、マスクに帽子、口元までネックウォーマーで覆い、早足で出口へと向かう。
人ごみに紛れてマスコミの目を逃れられたら……という希望も虚しく、あっという間に発見されて、囲まれてしまった。
「羽生さん、清水さんとの熱愛が報道されていますが、一言！」
「ホテルで一緒だったというのは事実ですか？」
「お二人の関係について、教えてください」
俺は向けられたマイクには目もくれず、ひたすら無言で歩く。
できれば、走りたい気持ちだ。
そのうち、俺に気づいた一般の人たちが何事かと足を止め、到着ロビーが騒がしくなり始めた。
「羽生さん、一言お願いします！」
「羽生さん……！！」
もう、しつこいな。
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にき(プロフ) - ヒロイン思わせぶりすぎる笑熱愛報道出ても好きな相手のこと信じてやれって！笑 (2022年12月20日 2時) (
レス) @page37 id: ab0684a449 (このIDを非表示/違反報告)
エミル(プロフ) - ほびまほぷさん» ほびまほぷさん、コメントありがとうございます。ここまですれ違うかなーと思いながら書いていました(^_^;)更新楽しみにしてくださるとのこと、今後も頑張ります！ (2022年2月10日 9時) (レス) id: 68edaa3183 (このIDを非表示/違反報告)
ほびまほぷ(プロフ) - 2人がすれ違いすぎてめちゃくちゃ泣けました、、更新楽しみにしてます！ (2022年2月10日 0時) (レス) @page45 id: ab6c13b289 (このIDを非表示/違反報告)
エミル(プロフ) - 凛音さん» 凛音さん、コメントありがとうございます。もちろん、最後はハッピーエンド……のつもりです！ (2022年2月6日 19時) (レス) id: 68edaa3183 (このIDを非表示/違反報告)
凛音(プロフ) - 2人が結ばれますように…！！！ (2022年2月6日 4時) (レス) @page44 id: f2426a3f71 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：エミル | 作成日時：2022年1月14日 14時
