二つの本音−１ ページ18
＜Yuzuru Side＞
トロントへ向かう機内、お気に入りの音楽をイヤホンで聴きながら、Aに勧められた小説を眺めているけど―――さっきから一ページも進んでいなかった。
つないだAの手、震えていたな。
一睡もできなくてボーっとする頭の中、そのことだけが鮮明に思い出される。
……情けないな。
なにやってんだろ、俺。
今朝、起きたとき。鏡に映った自分は、目の下にくっきりとクマが浮かぶ、げっそりとした酷い有様で。
ファンの人たちは俺を歳取らないみたいに言ってくれるけど、そんなことはない。
年齢相応の疲れが出た顔に余計気が滅入った。
公園からの帰り、俺もAも無言だった。
Aが車から飛び出したときは、そこまでアイツのために怒ってんのかって、正直ムカついたけど。
強引に腕を掴んで振り向かせたAの目は、今にも泣き出しそうだった。
友達だと頭で理解していても、Aがあの男をかばうのに腹を立てた。
俺以外の男を大切だなんて思って欲しくなかった。
なによりも―――俺がAから離れていた時間を共有し、俺の知らないAを知る男の存在が許せなかった。
頭のどこかで、あの男に負けたって思っていたのかもしれない。
築き上げた友達という関係を壊すリスクを負っても、アオイって奴はAに好きだと伝えてきた。
どれだけ勇気がいることなのか、恋愛に疎い俺でもわかる。
それに引きかえ、俺はまだちゃんとAに好きだと言えてなくて。
―――結局、俺は、アオイって奴に敗北感を覚える自分が嫌だったんだ。
誰かを批判したり、貶める言動だけはしないって、心がけてきたのに。
あの男を蔑むことでしか、自分を保てなかった。
負けを認めたくなかった。
「そばにいなかった結弦くんに、蒼のことをあれこれ言う資格なんてない」
その結果、一番痛いところを突かれた。
でも、彼女に言わせたのは自分。
そして、尖ったナイフのように容赦のない言葉は、俺だけじゃなく、放ったA自身も傷つけた。
読書は早々に諦めて、瞼を閉じる。
自宅の前まで送って、車から降りるとき―――Aが一瞬俺を見た。たぶん、謝るチャンスだった。
嫉妬して、ごめん。
酷いこと言って、ごめん。
たったそれだけのことなのに、意地とプライドが邪魔して謝れなかった。
ハビのアドバイス、無駄にしちゃったな……。
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にき(プロフ) - ヒロイン思わせぶりすぎる笑熱愛報道出ても好きな相手のこと信じてやれって！笑 (2022年12月20日 2時) (
レス) @page37 id: ab0684a449 (このIDを非表示/違反報告)
エミル(プロフ) - ほびまほぷさん» ほびまほぷさん、コメントありがとうございます。ここまですれ違うかなーと思いながら書いていました(^_^;)更新楽しみにしてくださるとのこと、今後も頑張ります！ (2022年2月10日 9時) (レス) id: 68edaa3183 (このIDを非表示/違反報告)
ほびまほぷ(プロフ) - 2人がすれ違いすぎてめちゃくちゃ泣けました、、更新楽しみにしてます！ (2022年2月10日 0時) (レス) @page45 id: ab6c13b289 (このIDを非表示/違反報告)
エミル(プロフ) - 凛音さん» 凛音さん、コメントありがとうございます。もちろん、最後はハッピーエンド……のつもりです！ (2022年2月6日 19時) (レス) id: 68edaa3183 (このIDを非表示/違反報告)
凛音(プロフ) - 2人が結ばれますように…！！！ (2022年2月6日 4時) (レス) @page44 id: f2426a3f71 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：エミル | 作成日時：2022年1月14日 14時
