冷たい手−２ ページ13
「いきなりだからびっくりしちゃった。連絡くれればよかったのに」
脱いだ薄手のコートを畳みながら言うと、
「連絡したら、断ってたんじゃね」
結弦くんからぶっきらぼうな口調で返されて……私は、ピシッと固まってしまう。
「そ、そんなこと、ないよ」
「ふーん」
じわり……と、嫌な汗が滲む。
目だけ動かして、結弦くんの表情を盗み見すると―――「俺は今、猛烈に怒っています！」という顔をしていた。
怖い、すごく怖い。
柔らかで爽やかな結弦くんは欠片も見当たらず、ここにいるのは阿修羅か、般若だ。
居心地の悪さに身じろぎすると、結弦くんに盛大なため息をつかれて。今すぐ、地球の果てまで裸足で逃げ出したい気分。
何度か来たことのある海が見える公園の駐車場に辿り着いても、結弦くんは唇を真一文字に結んだままだった。
「………、………」
「………………」
空気が重すぎて、ぺちゃんこに押し潰されそうです。
「カナダへ行く準備は終わったの？」
とりあえず、当たり障りのないところから話題にしてみる。
「うん」
「………………」
「……………」
えー、一言だけ？ いつものおしゃべりな結弦くんはどこいった？
「えっと、昨日はなんの仕事だったの？」
「雑誌のインタビュー」
「そうなんだ」
「……………」
この話題もあっけなく、終了。
っていうか、なんで私がこんなに気を使わなきゃいけないの？ 勝手に来たのは結弦くんのほうなのに、さっきから不機嫌を隠そうともせずに黙ったままって、どうなのよ？
仕事帰りで疲れているのと空腹なのも相まって、無性に腹が立ってくる。
「……Aは」
「ん」
「昨日、デートだったんだよね。あの男とホテルで」
それは、やけに“男”と“ホテル”を強調する口ぶりで、
「友達だから、デートじゃないよ」
神経が逆撫でされるけど、ぐっと抑えて答える。
「友達となのに、あんなオシャレな恰好で行くんだ？」
「オシャレって……」
「男受けが良さそうなワンピースだったじゃん」
「あれは……スイーツビュッフェで食べ過ぎてもいいようにワンピースにしただけで、男受けなんて狙ってない」
「へぇ、俺と会うより、スイーツを食べることのほうが優先ってわけ？」
ああ言えば、こう言う。
どう反論しても、結弦くんに突っ込まれそうで、私はついため息をこぼした。
「ため息つくな」
……自分だって、ついていたくせに！
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にき(プロフ) - ヒロイン思わせぶりすぎる笑熱愛報道出ても好きな相手のこと信じてやれって！笑 (2022年12月20日 2時) (
レス) @page37 id: ab0684a449 (このIDを非表示/違反報告)
エミル(プロフ) - ほびまほぷさん» ほびまほぷさん、コメントありがとうございます。ここまですれ違うかなーと思いながら書いていました(^_^;)更新楽しみにしてくださるとのこと、今後も頑張ります！ (2022年2月10日 9時) (レス) id: 68edaa3183 (このIDを非表示/違反報告)
ほびまほぷ(プロフ) - 2人がすれ違いすぎてめちゃくちゃ泣けました、、更新楽しみにしてます！ (2022年2月10日 0時) (レス) @page45 id: ab6c13b289 (このIDを非表示/違反報告)
エミル(プロフ) - 凛音さん» 凛音さん、コメントありがとうございます。もちろん、最後はハッピーエンド……のつもりです！ (2022年2月6日 19時) (レス) id: 68edaa3183 (このIDを非表示/違反報告)
凛音(プロフ) - 2人が結ばれますように…！！！ (2022年2月6日 4時) (レス) @page44 id: f2426a3f71 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：エミル | 作成日時：2022年1月14日 14時
