仮面−８ ページ42
＜Yuzuru Side＞
最終公演を控えたバックステージでは、スタッフや出演者が慌ただしく行き交っている。
俺は隅っこに寄ると、壁にもたれてスマホをタップした。
表示させたのはAとのトーク画面。
結弦今から最終公演。ちゃんと放送観てよ
素早く打って、送信する。
出発前にアイスショーの放送時間をAに伝えてきたのに、昨日は二回の公演とも見逃された。寝過ごしたとメッセージをもらったときは、見る気がねーのかよ、と、少しイラっとした。
Aうん、必ず観るよ。頑張ってね
すぐに返事がきたから、俺も続けてメッセージを打とうとして―――視線に気づいた。
「……なに？」
すぐそばに立って、俺の手元をガン見している同期を睨む。
「いや……ちょっと驚いている」
俺の睨みをスルーした刑事は、今度はまじまじと俺の顔を見下ろしてきた。
「本番の前はいつも集中して、話しかけるなオーラを発しているのに。ショーとはいえ、LINEしているとか……おまえ、本当にゆづか？」
……しまった。刑事の指摘どおり、自分でも普段と違うことしているって気づいて、スマホを見つめる。
「相手、女？ まさかとは思うけど……彼女とか？」
「違う。彼女じゃねーよ」
まさかって失礼だな！ と、内心ムッとしながらも、平静を装って答える。
「彼女じゃない。でも、女は否定しないんだな」
「………………」
くそ、返答間違えた。
「ゆづが片思いかー」
「知らね。勝手に言ってろ」
したり顔でうなずいている同期を突き放して、俺は背を向ける。
どうせここで否定しようと、到底信じてもらえるわけねーし、今はしゃべればしゃべるほどボロが出そうだ。
実際のところ、自分でもおかしいと思った。
試合はもちろん、アイスショーのときだって、スケート以外の雑音はシャットアウトしてきたのに……。Aが俺の演技をテレビで観てくれるかどうかを異常に気にしてしまっている。
無論、ショーが開演すれば、フィギュアスケートに集中できているし、調子も問題ないのだけど。
……一緒に暮らしていると、家族みたいな感覚になるからな。きっとそのせいだ。
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エミル(プロフ) - MERさん» MERさん、ご指摘ありがとうございます。気を付けます (2021年7月14日 23時) (
レス) id: 68edaa3183 (このIDを非表示/違反報告)
MER - 所々美百合さんになってますよ (2021年7月14日 22時) (レス) id: 39acd1ff39 (このIDを非表示/違反報告)
エミル(プロフ) - 鹿さん» 鹿さん、初めまして。コメントありがとうございます。わくわくするって感想、とても嬉しいです♪羽生さん、大人っぽいですかね？今後も楽しんでいただけるよう頑張ります！ (2021年7月12日 20時) (レス) id: 68edaa3183 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - はじめまして！斬新な設定にわくわくしています＾＾ここの羽生さんはとても大人っぽいですね。大人な羽生さん大好きなので、嬉しいです！更新頑張ってください！ (2021年7月12日 16時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：エミル | 作成日時：2021年7月10日 18時
