仮面−７ ページ41
オープニングの結弦くんは、白いシャツにデニムというカジュアルな衣装で、いつもの彼がそのままリンクに現れたように錯覚する。挑戦的な笑みだったり、にこにこと人懐こい笑顔だったり、場面ごとにめまぐるしく表情が変わって。
多くのスケーターの中にまじっていても、衣装が華美じゃなくても、自然と目が惹きつけられる。
光を纏っているんじゃない、彼自身が光だった。本人は意識せずとも、内側からにじみ出るカリスマ性。美しさだけじゃ、ああはならない。
誰の追従も許さない、圧倒的で唯一無二の存在。
大トリで登場してきた結弦くんは、オープニングの爽やかな雰囲気は封印して、黒と赤の衣装が大人っぽさを際立たせていた。
普段は髪も服装もどうでもいい感じなのに、この人は本当に自分を冷静に客観視できて、氷の上で自分を魅せる術を知っている。
片手で顔半分を覆い、仮面を着ける。
画面を通しても伝わってくる、凄まじい気迫と見る者を射貫く鋭い視線。曲がかかると同時、私は彼の世界に引き込まれた。
スケートの技術のことはわからない。
だけど、ダイナミックなジャンプや指先まで綺麗でしなやかなスピンは、感嘆しかない。
透き通ったボーカルの声が紡ぐ歌詞は、結弦くんそのもの。
孤独も、苦しみも、哀しみも、気高く美しくて。
空間すべてが、彼の色に染まっていく感覚……。
クライマックスで咆哮した彼の表情からは鬼気迫るものがあって、心が激しく震える。
いつもは氷の上に叩きつける手袋を天高く放り投げた意味や、すべてを出しきった後の穏やかな表情が持つ真実は、彼にしかわからない。
―――遠いな、すごく遠い。
改めて、すごい人なんだと実感する。
たとえ同じ空間で過ごしても、結弦くんと私の間には越えられない境界線があって、彼は私なんかが触れてはいけない領域にいる人なんだ。
でも、それでいい。
私は夢見る少女じゃない。目の前の現実を見て、冷静に判断できる大人だ。
自分とは違う世界の人を好きになんてならない。
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エミル(プロフ) - MERさん» MERさん、ご指摘ありがとうございます。気を付けます (2021年7月14日 23時) (
レス) id: 68edaa3183 (このIDを非表示/違反報告)
MER - 所々美百合さんになってますよ (2021年7月14日 22時) (レス) id: 39acd1ff39 (このIDを非表示/違反報告)
エミル(プロフ) - 鹿さん» 鹿さん、初めまして。コメントありがとうございます。わくわくするって感想、とても嬉しいです♪羽生さん、大人っぽいですかね？今後も楽しんでいただけるよう頑張ります！ (2021年7月12日 20時) (レス) id: 68edaa3183 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - はじめまして！斬新な設定にわくわくしています＾＾ここの羽生さんはとても大人っぽいですね。大人な羽生さん大好きなので、嬉しいです！更新頑張ってください！ (2021年7月12日 16時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：エミル | 作成日時：2021年7月10日 18時
