ボーダーライン−６ ページ34
＜Yuzuru Side＞
「……私も……結弦くんと過ごすの、楽しい」
少し間があって、Aが答える。
「だったら、それでいいじゃん。お互いに楽しいって思っているなら、その気持ちを大切にしようよ」
「……、……本当にそれでいいのかな？」
ためらうように俺を見上げてくる。
「いいか悪いか、俺だって答えは持ってない。一緒に暮らす中で、お互いにとって一番いい過ごし方を探すしかないんじゃない？」
長い人生のうち、わずかな期間だとしても、お互いの時間を共有するのだから。無理やり境界線を引く必要はない。
条件さえ守っていれば、うまくいく。
―――俺は、このときは本気でそう考えていた。
「そうだね、わかった。……でも、あの、一つ条件を付けくわえてもいい？」
「え、いいけど。……なに？」
言いにくそうに切り出してきたAの態度に、思わず身構える。
「できれば、共有のスペースでは上半身なにも身に着けずにウロウロするのはやめて欲しいんだけど……」
「へ、あ、うん」
微かに頬を染めたAに言われて、俺まで顔が紅潮するのがわかった。
「ごめん、配慮がなかった」
つい家と同じように寛いでしまった。異性と暮らすのに、マナー違反だったと反省する。
「他には？ 気にかかることない？」
「うん、大丈夫」
「よかった。じゃ、ご飯にしよ」
問題が解決したら、空腹を感じた。ガキかよ。
「ん、すぐ作るから待ってて。―――結弦くん」
立ち上がったAが俺の名前を呼ぶ。
「なに？」
「ありがとう」
えくぼを見せて柔らかく微笑むAに、俺の心は軽くなった。
その後は、何事もなく時間が過ぎていった。
いつものルーティーンをこなす、穏やかで充たされた日々。
明日からは七月。
今シーズンが始まる。
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エミル(プロフ) - MERさん» MERさん、ご指摘ありがとうございます。気を付けます (2021年7月14日 23時) (
レス) id: 68edaa3183 (このIDを非表示/違反報告)
MER - 所々美百合さんになってますよ (2021年7月14日 22時) (レス) id: 39acd1ff39 (このIDを非表示/違反報告)
エミル(プロフ) - 鹿さん» 鹿さん、初めまして。コメントありがとうございます。わくわくするって感想、とても嬉しいです♪羽生さん、大人っぽいですかね？今後も楽しんでいただけるよう頑張ります！ (2021年7月12日 20時) (レス) id: 68edaa3183 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - はじめまして！斬新な設定にわくわくしています＾＾ここの羽生さんはとても大人っぽいですね。大人な羽生さん大好きなので、嬉しいです！更新頑張ってください！ (2021年7月12日 16時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：エミル | 作成日時：2021年7月10日 18時
