ボーダーライン−５ ページ33
＜Yuzuru Side＞
「テレビ、買うの？」
Aが眺めていたのは、テレビのカタログ。
「え、あ、うん。自分の部屋にもあったほうがいいかなーって。結弦くんも気を使わずにテレビ観たいだろうし」
愛想笑いを浮かべて、「ご飯用意するね」と通り過ぎようとするから、
「座って」
思わず、低い声が出た。
「え？」
「話あるから、座ってって言ってんの」
「……うん」
Aは居心地悪そうに、元の椅子に座る。俺も、彼女の前に座った。
彼女に対する違和感をいつまでも放置できるほど、俺は気が長くない。
「率直に聞くんだけど……。俺、Aの気に障ること、なんかした？」
もっと当たり障りのない聞き方があるだろうと、自分でも呆れるけど、まどろっこしいことはできない性格がストレートな言葉につながる。
「……え？」
「最近、目も合わせないじゃん。態度も……なんか、俺を避けてるみたい。もし、俺が気づかないうちにAを不快な思いにさせていたのなら、知りたいし、謝りたい。だから、正直に言って？」
「……結弦くん……」
久しぶりに、目が合う。でも、一瞬でAはそらしてうつむいた。
その仕草に、Aが自分の態度を自覚しているのだと、わかった。俺の気のせいじゃなく、Aは意図して避けているのだと。
「……、……もしかして、後悔してる？」
自分で口にしながら、気持ちが沈んでいく。
「俺の話を引き受けたこと、後悔してんじゃない？」
だとしたら……どうするんだろう？ 同棲を解消する？
「それは、違う」
弾かれたように、Aは顔を上げる。
「じゃ、なんで避けるんだよ？」
「………私と結弦くんが一緒に暮らしている理由を考えたら、きちんと線引きをして生活すべきだと思ったの。自分の立場をわきまえなきゃって、だから……」
Aは神妙な面持ちで、慎重に言葉を選びながら言う。
「だから、必要以上には接するのをやめようと思った？」
「……うん」
そんな理由か。やっぱ、Aは真面目だな。
彼女に気が付かれないように、俺は安堵の息をついた。
「Aはさ、俺と一緒にいてどう？」
「……どうって？」
「俺は、Aと一緒に過ごす時間を楽しいって思ってる」
二人でご飯を食べて、テレビ観て笑って、他愛ない話をして。まだ暮らし始めて日は浅いけど、楽しいし、練習で疲れた身体も癒されている。
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エミル(プロフ) - MERさん» MERさん、ご指摘ありがとうございます。気を付けます (2021年7月14日 23時) (
レス) id: 68edaa3183 (このIDを非表示/違反報告)
MER - 所々美百合さんになってますよ (2021年7月14日 22時) (レス) id: 39acd1ff39 (このIDを非表示/違反報告)
エミル(プロフ) - 鹿さん» 鹿さん、初めまして。コメントありがとうございます。わくわくするって感想、とても嬉しいです♪羽生さん、大人っぽいですかね？今後も楽しんでいただけるよう頑張ります！ (2021年7月12日 20時) (レス) id: 68edaa3183 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - はじめまして！斬新な設定にわくわくしています＾＾ここの羽生さんはとても大人っぽいですね。大人な羽生さん大好きなので、嬉しいです！更新頑張ってください！ (2021年7月12日 16時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：エミル | 作成日時：2021年7月10日 18時
