恋人役−４ ページ4
わざと私に名前を言わなかったに違いない佳菜子をじとっと睨めば、
「さてっと、あとは二人でよろしくやってね」
と、椅子から立ち上がった。
「ええっ、佳菜子いてくれないの？」
「私がいてもしょうがないじゃん。条件面が合うようだったら、話を進めなよ」
あまりにも軽い口調の幼馴染に唖然とするけど、隣の羽生さんは異論がないようで冷静な顔で座っている。
「じゃ、また連絡してね」
バイバーイと、明るい笑顔を残して佳菜子は個室から出て行った。
「…………、………」
「…………………」
おそろしく、気まずい。
人見知りはないけど、有名人となにをしゃべっていいのかわからないし、そもそもの目的が微妙な内容である。
それに……なんか、少しがっかりもしていた。
勝手ながら、羽生さんのことを誠実で真摯な人だと想像していた。お姉さんの結婚のためとはいえ、お金をエサに恋人役を雇うって発想は女性を露骨に見下しているようで、イメージと違う。
「失礼いたします。お食事を運んでもよろしいですか？」
「はい、お願いします」
障子を少し開けて声をかけてきた仲居さんに、羽生さんが答える。
きっと、彼はこういうお店も慣れているんだろう。
ま、いいや。せっかくだから食事だけでも楽しもうと、私は気持ちを切り替える。
「花沢さん」
「あ、はい」
名前を呼ばれて顔を上げれば、羽生さんと目が合う。
「ごめんね。佳菜の奴、相手が俺だって言ってなかったんでしょ」
「ええ、まぁ」
「俺もこのお店に着いてから、そのことを知ってさ。驚かせちゃったよね」
「……はい、とても驚きました」
失礼しますと、再び声がかかり、仲居さんが前菜を運んでくる。
季節の食材を使った、目にも鮮やかな上品なお料理は、とても美味しそう。
羽生さんを前にがっつくわけにもいかないと、箸をつけるのを遠慮していたら、
「どうぞ、食べましょう」
と、羽生さんから勧めてくれた。
「いただきます」
二人して手を合わせ、食事を始める。
「ところで、一応確認しておくけど、佳菜から俺のこと……今日の目的とか、どう聞いてる？」
羽生さんが柔らかい口調で尋ねてきて、私は素直に佳菜子から聞いていたままを伝えた。
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エミル(プロフ) - MERさん» MERさん、ご指摘ありがとうございます。気を付けます (2021年7月14日 23時) (
レス) id: 68edaa3183 (このIDを非表示/違反報告)
MER - 所々美百合さんになってますよ (2021年7月14日 22時) (レス) id: 39acd1ff39 (このIDを非表示/違反報告)
エミル(プロフ) - 鹿さん» 鹿さん、初めまして。コメントありがとうございます。わくわくするって感想、とても嬉しいです♪羽生さん、大人っぽいですかね？今後も楽しんでいただけるよう頑張ります！ (2021年7月12日 20時) (レス) id: 68edaa3183 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - はじめまして！斬新な設定にわくわくしています＾＾ここの羽生さんはとても大人っぽいですね。大人な羽生さん大好きなので、嬉しいです！更新頑張ってください！ (2021年7月12日 16時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：エミル | 作成日時：2021年7月10日 18時
