仮面−１２ ページ46
＜Yuzuru Side＞
「Aを不快な気持ちにさせたよね。本当にごめんなさい」
俺は潔く頭を下げた。……けれど、Aからはなにも返事がない。
あー、そりゃ、そうだよな。嫌な奴に認定されてもしょうがないこと、言ってしまったもんな……。
これで同棲、解消されちゃうのかな。
「俺、Aの作ったご飯が好きだし、一緒に暮らしていて居心地よくて、スケートする環境とか身体作りとかサポートしてもらっているし、感謝しかない。だから、出て行かないで欲しい」
もはや、なりふり構っていられない。
姉の結婚のためじゃなく、自分のためにここにいて欲しかった。
「……もういいよ、結弦くん」
もういい？ いいって、許してくれるってこと？ ―――それとも、もう俺はいらないってこと？
「結弦くんの気持ち、よくわかったから。それに、私、出て行こうなんて思ってないよ」
「本当！？」
勢いよく顔を上げると、すぐ近くにAの綺麗な瞳があって、心臓が跳ね上がる。
「前も言ったけど、結弦くんと一緒にいると楽しい。それに今回のアイスショーを観て思ったの。結弦くんは本当に素晴らしいスケーターなんだなって。私ができるのは家事しかないけど、少しでも結弦くんのためになるなら力になりたい」
「……A……。ありがとう、すごく嬉しい」
張り詰めていた心が、ゆるゆると解けていく。
許してもらっただけじゃなく、それ以上の言葉をAからもらって。疲れきった体が癒されていく気分。
「じゃ、遅くなったから、その人とタクシーで帰ったの？」
「うん。帰る方向が一緒だったから」
うーん、それって大丈夫なのかな。そいつが送り狼になったりしない？
「酔ったりしてないよね？」
「親しくない人と飲んで酔ったりしないよ。どっちかっていうと、家で仲のいい子たちと飲む方が好きだしね」
「そっか」
俺が免許を持っていれば、遅くなったときに迎えに行けるのにな。
「引退したら、絶対免許取ってやる」
「え？」
「ううん、なんでもない」
引退したら―――この契約は終了する。
わかっていたけど、俺はその事実を頭の隅に追いやった。
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エミル(プロフ) - MERさん» MERさん、ご指摘ありがとうございます。気を付けます (2021年7月14日 23時) (
レス) id: 68edaa3183 (このIDを非表示/違反報告)
MER - 所々美百合さんになってますよ (2021年7月14日 22時) (レス) id: 39acd1ff39 (このIDを非表示/違反報告)
エミル(プロフ) - 鹿さん» 鹿さん、初めまして。コメントありがとうございます。わくわくするって感想、とても嬉しいです♪羽生さん、大人っぽいですかね？今後も楽しんでいただけるよう頑張ります！ (2021年7月12日 20時) (レス) id: 68edaa3183 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - はじめまして！斬新な設定にわくわくしています＾＾ここの羽生さんはとても大人っぽいですね。大人な羽生さん大好きなので、嬉しいです！更新頑張ってください！ (2021年7月12日 16時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：エミル | 作成日時：2021年7月10日 18時
