ギャップ−２ ページ12
スマホの画面を消して、私はテーブルの上にノートを広げる。
最近始めた、アスリートのための栄養学の勉強。大学で栄養学を専攻していたけど、アスリートとなると一般の人とは身体づくりから違う。特にフィギュアスケートは、わずかな体重の増減がジャンプを狂わせるというから、しっかり学んでおかねば。
おまけに羽生さんの場合は、あの美肌も保たねばならない。なに食べていたら、あんなシミ一つない艶々の肌ができあがるのだろう？
「結構、乗り気じゃん」
羽生さんについて調べたり、栄養学を学び直している私の話を聞いて、佳菜子はからかってきたけど。
最終的に引き受けるかどうか、まだ決めてはいない。
でも、そう難しく考える必要もないのかなって、思っている。
恋人役といったって、ずっと恋人のフリを求められるわけじゃない。羽生さんのご家族の前でだけ、それらしく演技をすればいいだけ。
普段は、彼の身の回りの世話をする住み込みの家政婦だと思えば、気も楽。
早めの夕飯を済ませて、シャワーを浴びた私は、ソファに座るとサイドテーブルの上に冷えた缶ビールを置いた。
そろそろかなと、思ったと同時。スマホが着信音を奏で始める。
『―――もしもし、Aさん？』
柔らかくて澄んだ声。
決まった時間にかかってくる、羽生さんからの電話。
羽生さんはいつも夜の練習へ行く前に電話をかけてくる。ほぼ、毎日。そして、彼と話をするようになって、家とリンクの往復だけというネット情報は正しかったと知った。
三分ぐらいで終わるときもあれば、長話になるときもある。
わかったのは、羽生さんは結構話好きってこと。あと声がすごく耳触りがよい。
『今日なにしてた？』
『ハローワークに手続きに行ったんだけど、前の職場の同僚に会ったから、お昼を一緒に食べて―――』
うん、うん、とあいづちを打ちながら、羽生さんは私の話を聞いてくれる。話好きだけど、傾聴力もしっかり備わっている。
会話は羽生さんが私に質問してくることが多い。私の情報はネットに載ってないもんね。
ちなみに、最初の頃、オンライン通話を提案されてやったのだけど……ノーメイクでもアップに耐えられる羽生さんと違って、私の顔が向こうにどう映っているか想像すると恥ずかしくて、会話に集中できないからやめてもらった。
『結弦くんは？』
いまだ呼び捨てができない私は、くん付けで呼んでいる。
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エミル(プロフ) - MERさん» MERさん、ご指摘ありがとうございます。気を付けます (2021年7月14日 23時) (
レス) id: 68edaa3183 (このIDを非表示/違反報告)
MER - 所々美百合さんになってますよ (2021年7月14日 22時) (レス) id: 39acd1ff39 (このIDを非表示/違反報告)
エミル(プロフ) - 鹿さん» 鹿さん、初めまして。コメントありがとうございます。わくわくするって感想、とても嬉しいです♪羽生さん、大人っぽいですかね？今後も楽しんでいただけるよう頑張ります！ (2021年7月12日 20時) (レス) id: 68edaa3183 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - はじめまして！斬新な設定にわくわくしています＾＾ここの羽生さんはとても大人っぽいですね。大人な羽生さん大好きなので、嬉しいです！更新頑張ってください！ (2021年7月12日 16時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：エミル | 作成日時：2021年7月10日 18時
