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出会い ページ1

お腹が空いて、寒くて、まだ小さい私は、媚びを売ることしか知りませんでした。
だから、優しそうな人や、一人でいる人の足下に擦り寄って、ごはんをくれるか拾ってくれるのをずっと待っていたんです。
また良い匂いのする一人の人がいると思って、足に擦り寄りました。

「あ?」

低い声でした。
私は最近お風呂にも入っていないし、ろくにごはんも食べていないので、やせ細って毛は汚れ、はっきり言って、決して可愛くない捨て猫だったんです。
男の人は、私を邪魔だと言って蹴って来る人も少なくなかったので、私はその時「失敗した」と思いました。
でも違ったんです。
その人は真っ黒な手で私をひょいと持ち上げると、

「雪も降ってるし、寒いよな…お腹減ってるのか?」

と訪ねて来たんです。
こんな人は初めてでした。
ここぞとばかりに、私はにゃあにゃあと鳴きました。
でも、その人は曇った表情になって、私を地面に下ろしたんです。

なんで?

「ごめんな…手前の世話がきちんとできる環境じゃねぇんだ。他の奴に拾ってもらえ。幸せになれよ。」

頭を優しく2回撫でて、スッと立ち上がりました。
心の美しい人でした。
その時私はこの人が良いと思ったんです。

だから、ついて行きました。
他より歩く速さが速いその人に遅れないように、小走りでずっとついていきました。

「手前…ついて来るんじゃ無ェよ。俺の所に来たって…」

いいえ。私は貴方がいいんです。
貴方なら、幸せにしてくれるって信じています。
だからついて行きますよ。
離れませんからね。

半ば意地になって、黙ってずっとついて行きました。
すると、その人は諦めたようにため息を一つついて、

「仕方無ェな。…来るか?」

って訪ねて来たんです。
ほら、私は間違ってなかったでしょう?

「にゃあ」

暖かいその腕の中で、私は久しぶりに安心して眠ることが出来ました。

此の人なら→



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なぴあ - すごく面白かったです〜!!! 猫も中也も好きなので幸せでした(泣) これからも頑張って下さい!!! (2022年3月11日 16時) (レス) @page8 id: bc58708f8e (このIDを非表示/違反報告)
しぇるふぃあ。 - 既存の作品をもとにした二次創作なのでオリジナルフラグを外してください。多分低評価もそれが原因かもしれません。 (2018年4月9日 20時) (レス) id: 2fca820d76 (このIDを非表示/違反報告)
ぶどうしゅ(プロフ) - はじめまして!!この話をよんで思わず涙が零れそうになりました。これからも頑張って下さい (2017年12月27日 16時) (携帯から) (レス) id: 7cee4984be (このIDを非表示/違反報告)
りんご - (涙) (2017年3月24日 14時) (レス) id: 0e268ef785 (このIDを非表示/違反報告)
らいむ@エミリア(プロフ) - おさるさん» ありがとうございます!感動して頂けるものが書けたかどうか不安だったのですごく嬉しいです・・・!!これからも頑張ります!! (2017年2月15日 0時) (レス) id: 484db0ba6e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:らいむ@エミリア | 作成日時:2016年12月31日 23時

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