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Aside
福本くんは1学年下で、フロアが違ったから廊下を歩くだけで少し気まずい。
うわーチラチラ見られてる…そりゃそうだよね、こんな冴えない高校3年生が廊下歩いてたら…
ついに着いてしまった。福本くんのクラス。
「失礼します…あ、すみませ…」
ふと振り向いたら、1人の男の子が立っていた。
その男の子に向かってクラスの中にいた人が、大晴！早く来いよ！と叫んだ。
「福本くん…？」
「え？」
彼は目を真ん丸にさせて驚いた。どこかで会ったことありましたっけ、と呟く福本くん。会ったことはないけど、話したことはあるんだよね、不思議。
「あ、えっと…視聴覚室の手紙…」
「あ！え！Aちゃん先輩？」
大晴！はやくー！と人気者の彼は呼ばれる。やっぱ来るべきではなかったのかな、自分の場違い感が辛い。
そんな私を見た彼は、クラスの中にいた友人にちょっとまってて！と叫んで私の手を取って走り出した。
「ふぅ…ここでならゆっくり話せますね」
と連れられてきたのは誰もいない視聴覚室。普段から開いてるんやな、
「あそこの席、座りましょ」
福本くんは私の手を引いて私たちの出会いの場所である机に向かって歩き出す。
椅子を引いて、どうぞという彼は手紙を見てイメージしていた彼と全く同じで笑顔が素敵だった。
福本くんは私の前の席に座って椅子をずらしてこちらを向いた。
「なんで急に会いに来てくれたんですか？」
りゅちぇに言われたから、なんて理由は言えないわけで。
でも真っ当な理由が思いつかない。
「あ、そんな困らせる質問でした？」
「あっいやそんなことはないんだけど…」
気まずい。やっぱり会いにこなければよかった、そう思う前に彼は
「会いたかったです」
そう言ってくれた。
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作者名：晴 | 作成日時：2022年11月29日 19時
