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ナンパ 橙 ページ24

Aside

「なぁなぁおねーさん可愛ええな〜どっか行かへん?」

「いや私そういうの本当に無理なんで、すみません」

今日の私は本当にツイていない。
お気に入りのパウダーは割れるし、バスは乗り遅れるし、お気に入りの伊達眼鏡のネジ外れるし…。

そして今、就活生の私は帰り道、人生初のナンパに出会った。
リクルートスーツを着て、ポニーテールの私。清潔感はあるだろうが、ナンパをされるほど可愛い格好をしていない。

そしてナンパをしてきたお兄さんはかなりイケメンだ。なんかこう、なんだろう。全パーツ大きいタイプのイケメン。ていうか私より肌白くない?悲しくなってくる。


「俺が全部お金出すからさ!そこのカフェ行こうや〜!」

お兄さんが指で示したのはつい最近出来たばかりのインスタ映えすることで話題のカフェ。ええ何この人。

私はとことん疲れていて甘いものを欲していたから、まぁお金出してくれるなら良いかと彼の頼みに乗った。


「めちゃくちゃ可愛い雰囲気や〜。おねーさん…て名前は?」

「Aですけど…」

「Aちゃんな〜!俺は大晴。大きく晴れるやで!」

聞くと、お兄さん…大晴くんはナンパをしたかった訳ではなく元々可愛いカフェに興味があったが、1人では入りにくく一緒に行ってくれる人を探していたそうだ。

そして大晴くんは同い年の大学生だということも分かった。


「美味しい!むっちゃ美味しい!」

大晴くんとクリームたっぷりのパンケーキを半分こ(3/4は食べられた)した。疲れている私の身体にもすごく染みる味…。ああ、至福。

大晴くんが食べているところをじっと見ていると口の周りにクリームをつけたあざと大晴くんが口を開いた。

「Aちゃん、また今度行ってみたいカフェがあるんやけど…」

大晴くんが行きたいカフェリストを沢山見せてきた。

「一緒にまわってほしいな、なんて」

「いいよ、別に」

「え?ほんま!」

「その代わり大晴くんが全額負担ね」

大晴くんは、意地悪や〜!と言いながらまたパンケーキを頬張った。

こうして就活しながら、月3の楽しみとして大晴くんとスイーツを旅をする日々が始まった。

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作者名: | 作成日時:2022年11月29日 19時

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