初詣 赤 ページ23
赤side
｢せーちゃんっ！はやく〜！！｣
｢そんな焦っても怪我するだけやで…｣
今日は彼女のAと初詣に来ていた。
Aとは同棲し始めて1年。そろそろプロポーズをしたい時期なのだが、今の恋人という関係に正直満足してしまって踏み込めていない。
｢やっぱ日にちずらしたから人少ないね！せーちゃん天才！？｣
Aが目を大きく開けてそう言う。
Aは歳下の彼女。天真爛漫で無邪気な感じ。
｢んー天才かもなー｣
｢せーちゃん！階段ダッシュしよう！！せーちゃんお餅食べて運動不足でしょー！｣
｢ちょ、A袖引っ張んなや！！っうぉい！！｣
｢せーちゃん遅いよ！！｣
俺の着ているコートの袖を引っ張るとAは全速力で１段飛ばしで階段を駆け上がった。
あーこのコートまぁまぁ高いんやけどなぁ。
ていうか神様の通り道こんな走ってええもんなん？
ま、こういうとこが好きやねんけど。
そうこうしているうちにあっという間に参拝するところに着いていた。
｢私知ってるよ！二礼二拍手…うん？｣
｢一礼やな笑｣
｢そうそう！やっぱせーちゃんは天才だね〜｣
勢いよく頭をわしゃわしゃと撫でられる。
俺犬ちゃうんやけどな…笑
無邪気に笑う彼女はやっぱり可愛い。
無事に神様への挨拶も終わり御籤やら出店やらを楽しんだ帰り道。
車を使わずに来たため、久しぶりに手を繋いだ。
｢せーちゃん何お願いしたの？｣
｢秘密やな。Aは？｣
｢え！？せーちゃん秘密なら私も言わないよ〜｣
｢分かった分かった、じゃあせーので言おうや｣
｢えー？裏切らない？｣
｢うん笑｣
Aは純粋な子だから多分言っちゃうんやろうな…
ちょっと罪悪感はありつつも俺は黙ることにした。
｢せーの｣
｢せーちゃんと結婚できますように！｣
｢｢！？｣｣
｢ちょせーちゃん言わなかったぁ！｣
｢いや、ちょま…Aさぁ…俺も同じことお願いしたわ｣
思わぬ出来事に腰を抜かしそうになる。
まさか同じことを思っていたとは。
俺は今年こそAにプロポーズして結婚できますように、と神様にお願いをした。
｢はははっ！なんだ同じじゃん！｣
｢俺がかっこよくプロポーズしようと思ってたのに｣
｢帰りに婚姻届もらってく？笑｣
｢あほ！貰うわけないやろ！もう！！｣
｢えー！ぷんぷんせーちゃんや…｣
一応帰りに婚姻届を貰ってきたとさ。
おわれ
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作者名：晴 | 作成日時：2022年11月29日 19時
