6人に愛されてみませんか？【短編集】 (ページ17)

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先生、　緑ページ17

Aside

幼い頃からの夢だった高校教師になって2年。ついに自分のクラスを持つことになった。

2年3組。入学したての1年生でもなく大学受験か就職に追われて忙しそうな3年生でもない、2年生の担任だ。

「1年間よろしくお願いします！名前覚えてくださいね」
見た感じみんないい子そうでよかった、と肩の荷がおりた。

「はいはい！しつもーん！」
きたきた。担任とか転校生に質問攻めするやつ〜！
その子は髪にメッシュが入っており、制服を着崩した如何にも一軍女子って感じだ。

「はい、えーと佐藤さん？かな？どうぞ」
「せんせーは彼氏いるんですかー？」
ｷﾀ━━━━(ﾟ∀ﾟ)━━━━!!と頭の中で文字が流れるレベルでベタな質問。案の定教室内は笑いで包まれている。

25年の人生の中で彼氏がいたことはたったの1回。それも1週間で別れた。ほぼノーカンでしょ。

そして今もちろんいるはずはない。

そろそろ結婚に焦る時期だな、なんて他人事のように考えるくらい。親も急かしてくるような人ではないし別に私も焦ってはいない。恋人が居ない方が自由に暮らせるし。

「今は！いないんだよね〜」
一応強がりで"今は"を強調しといた。

「そっか〜マサカドせんせーとかイケメンだしお似合いっしょ！」

マサカドせんせーとは私と同じ時期にこの学校に赴任した正門良規先生のことだろう。
あの人、キラキラしすぎて話しかけるの躊躇しちゃうんだよね〜。

「正門先生は神々しすぎて先生にはちょっときついかなぁ」
そう答えると教室中はドッと盛り上がった。

そんな盛り上がる教室に1人、後ろの席で窓をずっと見つめる生徒がいた。

あの子は確か…佐野くん？
彼が1年生の時に何回か授業見学したことがあるけどこんなに暗い子だったっけ？もしかして私のことが苦手なのかな。