6人に愛されてみませんか？【短編集】 (ページ11)

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約束　紫ページ11

Aside

「A先輩の初恋っていつなんすか？」

会社の飲み会で隣に座っていた佐野くんにそう聞かれた。

初恋、か。

長らく恋愛とは縁遠い生活を送っていたせいで、そんなこと考えたこともなかったな。

"健くん"

小さい頃、毎日遊んでいた男の子。
私が小学校に上がる頃くらいに健くんは引っ越していった。本人から何も聞いておらず、今何をしているか、何県にいるか、何も分からないまま大人になった。
家族ぐるみで仲が良かったため、母は何か知っているんだろうなと思って1度聞いたことがあったが、健くん？そういえばなんで引っ越したのかしらね〜なんて言っていた。

そういえば、大きくなったら結婚しようね！なんて、若気の至りで約束したことがあったなぁ。
それを信じて、学生時代は彼氏作らなかったもん。(いや出来ないだけだったけど)
その時貰ったシロツメクサは今でも押し花にして本に挟んである。

「何歳か忘れたけど結婚しようねって約束した子かなぁ」
「え！なんそれ！めちゃくちゃロマンチックっすね！憧れるわ〜」

健くん、今何してるんだろう。