白瀬くんの学生時代 ページ6
[安元洋貴]
この業界は不思議だ。自分より年下でも芸歴は先輩という人は山ほどいるし、遅咲きで年上でも後輩になる人もいる。
今俺の目の前にいる先輩。。
白瀬Aは前者の人間だ。
芸歴は今年で30年。生まれたときから芸能界に身を置き、今まで生き残っている実力者。
武器である変幻自在の声と、確かな実力と経験に裏打ちされた演技力。
そしてモデルとして培ってきた自分の魅せ方。
この人から学ぶことは多い。
が、白瀬Aは確かに先輩ではあるが、俺よりも年下なのだ。
気づいたらもうこの業界に居場所を確立していたけれど、それは何年前からだ?
学生時代はどんなふうに過ごしたのだろう。
ふと、目の前で台本を熱心に読み込んでいる先輩に興味が湧いた。
「白瀬さん、」
ちょうどキリがついたのかひと休憩中の白瀬さんに声を掛ける。
「んー?はい、なんでしょう安元さん」
一瞬気を抜いていたのか、ワンテンポ遅い返事にこちらも気を抜く。
「Aくん、めっちゃ個人的な質問していいですか。」
俺らは基本仕事中はしっかり敬語を使うし、あまり下の名前で呼ばない。
けれど、今からの質問はプライベートだし、名前で呼んだっていいだろう。
「内容によりますけど、いいですよ」
プライベートを聞かれるは思っていなかったのか目を瞬かせたAくんは、やはり動揺など見せまいとすぐに取り繕う。
「Aくんの学生時代の話、聞いてみたいっす」
「……あぁ、いいですよ。
学生時代って言っても、その頃は声優としてはまだまだで、モデルの仕事が中心でしたねー」
「え?でも、Aくんその頃にはレギュラーそこそこあったでしょ?」
「それは高校生2、3年ぐらいじゃないですかねー」
「へぇ、じゃあ普段の学校はどうしてたんですか?」
「どうって、、普通かなぁ
あーでも、できるだけ学生を満喫したかったから日中の仕事はセーブしてもらってましたね」
「なんか思い出深い出来事あります?」
「あるよ、合唱コンクール。
伴奏弾いたんだー」
「Aくんピアノも弾けるの?」
「一通りは。うちの祖母が音楽家でね、めっちゃ厳しかったなー」
「へぇ、Aくんが苦手なことは?」
・
[白瀬A]
苦手なこと、かぁ。うーん。。
「苦手なことは、歌、かな
人前で歌うのが得意じゃない」
決して、音痴なわけではないけれど
「意外。。ありがと、めっちゃ話してくれて嬉しい」
安元さんの包容力に絆されただけ、だと思う。
「どういたしまして、今度飲み行きましょう」
たまには、自分のことを話してもいいかもしれないから。
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ねこ吉(プロフ) - 月夜さん» ありがとうございます! (2022年6月25日 15時) (レス) id: 6a311ae5ac (このIDを非表示/違反報告)
月夜 - とても素敵な作品ですね!続きを楽しみにしています! (2022年6月22日 12時) (レス) @page32 id: eed394cd10 (このIDを非表示/違反報告)
ねこ吉(プロフ) - 如月ヨシノ。さん» ご報告ありがとうございます!この時間軸ではいる設定です!注意書き追加しておきますね、ありがとうございました! (2022年6月16日 13時) (レス) @page32 id: 6a311ae5ac (このIDを非表示/違反報告)
如月ヨシノ。(プロフ) - 私自身もヒプステ観覧したことはないのですが、世古口くんと前山さんはキャスト変更でもう出演されてないはずです…!このお話のときはいるっていう時系列なら問題ないとはおもうのですが、一応ご報告です! (2022年6月16日 12時) (レス) @page32 id: 8a478387dc (このIDを非表示/違反報告)
ねこ吉(プロフ) - 桜巳 紅蘭さん» リクエストありがとうございます!大変お待たせ致しました。更新しました! (2022年6月15日 19時) (レス) @page32 id: 6a311ae5ac (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ねこ吉 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/emiri04251/
作成日時:2020年10月6日 23時