153→(番外編)おじいちゃんの呼び方 ページ12
それはまだサルファ剤を作っている途中、カセキおじいちゃんが合流して少しした頃のお話
「Aちゃんってカセキちゃんのこと、名前で呼ばないよねぇ〜」
「そういやそうだな、他の奴らは名前で呼んでるしな…」
「うん、きっと何か理由があるんじゃないかな」
『え？…ちゃんと許してはもらってるよ』
さり気ない疑問符を抱く千空たちに、私がカセキおじいちゃんをおじいちゃんと呼ぶに至るまでの話をする事になった。
最初におじいちゃんをおじいちゃんと呼んだのは、うっかりだったんだけど…
『おじいちゃん！…あ…ごめんなさい、カセキさん』
「ホホ、確かにワシおじいちゃんだしね、構わんよ。でもどうしちゃったの？」
『ありがとうございます…カセキさん、私のおじいちゃんに似てるんです…』
「オホ、Aのおじいさんは、職人さんだったの？」
『そういう訳じゃないんですけど…物作りが大好きで、休みの日は必ず何か作ってて、その背中がスゴく頼もしくて、大好きだったんですよ』
「……過去形って事は、もう会えないのかの？」
『あはは……持病が悪化しちゃって、そのまま……カセキさんが千空のクラフト手伝ってるの見て、懐かしくて…つい、おじいちゃん、って呼んじゃいました…すみません』
思い出すのは大きな背中で、ゴツゴツした手でわしゃって撫でられるのが大好きだったなぁ、なんて思ったら作業の手を止めたおじいちゃんが私の近くまで来て撫でてくれて、懐かしさに思わず泣いてしまって……
「ワシの事、好きに呼んで良いのよ。Aのおじいさんにはなれないけど、こうやっていつでも撫でる位なら出来るから遠慮せんで、甘えにおいで」
『っ……あ、りがと…ございます…』
「話し方も、千空達に話すみたいに普通に話しちゃって良いからね」
『おじいちゃん………うん、ありがとう、大好き…』
思えばとても恥ずかしいけど、あれが初めてストーンワールドで素直に甘えた事かもな…
「そんな事があったのね〜…でも、良かった、Aちゃんが甘えられる相手が出来たみたいで」
「うん、そうだね…無理はして欲しくないからね」
『無理じゃないってば…本当に2人とも心配性だなぁ…でも、嬉しいよ。ありがとうゲン君、司君』
その後、結局未来ちゃんを起こして氷月君を起こした帰り道で熱出して心配をかけてしまっているので、申し訳ない気持ちで一杯なのだけど。
とりあえず、おじいちゃん呼びになった理由はこんな感じでした。
※時間軸を合わせ加筆修正
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作者名：美玖 | 作成日時：2023年8月22日 8時
