耕くんへ 4

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南｢颯馬くーん！｣


突如名取の病院に現れた南は名取に抱きつく。


＿彼はいくつだっただろうか。


デジャブを感じて名取は頭を振る。


名取｢…南先生、なんですか。｣


南｢耕作くんと喧嘩でもしたの？｣


あまりにド直球すぎる質問に名取は面食らう。


南｢だって、この間久しぶりに耕作くんから連絡あって、どうしたものかと思ったら死にそうな顔して颯馬に嫌われたって言われたら、そりゃ南先生動かなきゃいけないじゃん？｣


名取｢じゃんって…南先生には関係ないですよ。｣


南｢ほらまたそうやって。自分だけが苦しい、みたいな顔して。そんなんじゃ仲直りできないよ？｣


名取は南を見る。


その目を見て南は怯んだ。


名取は親友の幼馴染みを自分のせいで怪我をさせたという人生のどん底を味わっていることを南は知っていた。


誰よりも知っている自負があった。


けれど、その時の目より今の名取の目はひどかった。


まるで世の中全てを諦めたような、憎んだその先を見てしまったような。


名取｢藍沢先生と俺はもうなんの関係もありません。元上司と元部下です。今の俺は名取総合病院の後継者。それだけです。南先生もこんなところで油売ってないで自分の病院に戻ったらどうですか？｣


笑顔を取り戻したように見えた名取から笑顔だけでなく、光までを失っていた。


南は名取に声をかけられなかった。


名取は一礼してその場を去って行った。

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