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白石「はぁ…絶対無理だよ。」
そう独り言をつぶやいてから乗り込んだエレベーターには先約がいた。
白石「はっ」
久しぶりに見る同僚の顔に驚くと同時に気まずくなる。
藍沢「…どうした。」
白石「い…いや?」
エレベーターの中で二人きりになり、白石は藍沢の様子を伺う。
藍沢「…何だ」
白石「あっ…ううん」
藍沢「…午前中だけでホットライン5件はきついな。」
そう話しかけてきた藍沢に白石は驚きながらも喜んだ。
違う部署に行っても古巣のことを気にかけてくれることが分かっただけでもうれしい。
白石「あっ、何?心配してくれてたの?大丈夫よ。緋山先生戻ってきてくれたし。それにフェロー達もじきに使えるようになるから。」
藍沢「そうか。」
しかし白石は一拍おいてから藍沢に話しかけた。
白石「戻ってこれない?」
そう言った途端藍沢の動きが止まった。
白石「ごめん。余計なこと言った。藍沢先生が脳外で頼られているのは知っているし、西条先生だって手放さないよ。今のは嘘。忘れて。」
そういうとずっと目線を合わせてこなかった藍沢が目線を合わせた。
藍沢「トロント大のレジデントの話があるんだ。」
白石「…そうなんだ。」
藍沢「すまない。」
その言葉はエレベーターの中に吸い込まれていった。
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作者名:EMI | 作成日時:2020年4月11日 13時