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緋山「はぁ?病院から40分!?そんな遠いホテルしか取れないの?何のための火災保険よ。」
藤川「触らぬ神に祟りなしだよ。」
今朝の火災騒動で思わぬ登場をした緋山に藤川と白石は怯えていた。
緋山「病院に近くなきゃ意味ないの。え?探して今日中に連絡する?今日中って何時?はい分かった、一時間後ね。絶対電話してきなさいよ!」
火災保険のお兄さんかわいそうに、と思いながら絶対に目を合わせないように作業をする藤川と白石。
緋山「ねぇ白石、あんたの家って病院からどれくらい?」
緋山の狙いが手に取って分かる白石は目を泳がせる。
白石「…え、あ、遠いよ?病院から1時間くらい。」
藤川「え、こっから車で5分って言ってなかった?」
藤川の突っ込みに白石は藤川を見る。
やっと気がついた藤川はしまった、という顔をする。
緋山「ああ近いじゃん。しばらくあんたのとこ泊めなさいよ。」
ここまで来たなら仕方ない。
白石「しばらくって何日くらい?」
緋山「一ヶ月くらい。」
さらっと答えた緋山に白石は目を見開く。
白石「ごめん、無理。」
その言葉に緋山のイライラは増していく。
緋山「何なの!?家はめちゃくちゃ。今日寝る場所なければ着替え一枚もない。その上職場は人手不足で扱う症例ははっきり言ってつまんない。やってらんないんだけど!」
白石「…分かるけど。」
緋山「せめて藍沢戻せない?」
かぶせ気味に答えた緋山の言葉に白石は顔を上げる。
久しぶりに聞いた同僚の名前。
彼はフェロー卒業後とほぼ同時に脳外科の道に進んだ。
藤川「だよな。俺もそれが一番いいと思ってたんだよ。」
誰もが認める腕の持ち主。
三井先生が開ける穴は大きいが、藍沢が戻ってくればそれを最小限に抑えられるかもしれない。
緋山「白石。あんたスタッフリーダーでしょ?言ってきてよ。」
白石「私が?」
緋山「藍沢に戻ってこいって。」
白石「…え」
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作者名:EMI | 作成日時:2020年4月11日 13時