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白石｢大丈夫よ。｣
藍沢、�塋�、冴島がドクターヘリでの出動中、�塋�からの連絡があった。
どうやらこのミッション、藍沢ではなく�塋�が仕切っているのだと全員が思った。
�塋�を心配する者もいたが、名取は思った。
…これが耕くんのやり方だ、と。
昔からそうだった。
鉄棒も、のぼり棒も、うんていも。
なにもかも当たり前だが6歳も上の藍沢の方が先にできていた。
藍沢は決して手を貸さなかった。
一人でやってみろ、と。
けれど必ず後ろに藍沢はいた。
落ちたときは必ず藍沢が受け止めてくれていた。
…あぁ、記憶がなくても耕くんは耕くんだ。
名取はなんだか心が温かくなる気がした。
藍沢｢換気が上手くできないくらいでいちいち連絡してくるな。｣
担当していた患者を心配そうに見つめる�塋�に藍沢は言い放った。
藍沢｢緊張性気胸を疑ったんだろ？｣
�塋�｢…疑いました。｣
藍沢｢じゃぁ、自分でどうにかしろ。それに、ヘリの中で制限があったとは言え、下手くそすぎだ。｣
�塋�｢…はい。｣
藍沢に心にグサグサくる言葉を投げかけられ�塋�はかなり落ち込んだ。
しかし名取はそんな�塋�を見ながら少し笑った。
どんな相手にもそういうことを言うのは藍沢の昔からの癖だ。
藍沢｢だが思い切って層を大きくとったのは正解だ。｣
�塋�｢…はい。｣
藍沢｢短い時間で確実にトレナージするには最適な大きさだ。｣
�塋�｢…はい。｣
藍沢｢それに、4歳の子を優先した搬送プランもよかった。｣
�塋�｢え…｣
やっと褒められていることに気がついた�塋�は驚いた顔をした。
藍沢｢…よくやった。｣
�塋�｢え…｣
名取｢え…｣
よくやった。
それは名取が幼い頃藍沢から数え切れないほど言われた言葉。
テストで満点が取れたとき。
逆上がりが初めてできたとき。
転んでも立ち上がってゴールしたとき。
走馬灯のように駆け巡る藍沢との思い出に名取は目頭が熱くなるのを感じた。
緋山｢…名取？え、なに、あんた泣いてるの？｣
名取｢え、あ、…｣
そう言われて名取は初めて自分が泣いているのに気がついた。
泣くのなんて…20年ぶりだ。
名取｢…すみません。｣
名取は自分の感情に追いつかず、逃げるようにその場を去った。
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作者名：EMI | 作成日時：2020年4月11日 13時
