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藍沢はヘリポートに来ていた。
白石「よかったね、悠斗君。意識が戻って。」
藍沢がみた少年は無事意識を取り戻した。
藍沢「なんだ。結局徹夜か。」
白石「出動記録まとめてたら、帰りそびれちゃって。はい。」
そう言って藍沢にコーヒーを渡す。
藍沢「サンキュ。」
白石「どうかした?」
藍沢はなにかあるとヘリポートに来る。
それはシニアなら誰でも知ってることだった。
藍沢「いや。」
しかし、藍沢はそこで言葉を濁す。
もともと聞いて答えるような性格はしていないが。
白石「今日はありがとう。助かった。」
藍沢「俺は脳外科医の仕事をしただけだ。」
白石「そうね。でも、藍沢先生のおかげで目が覚めた。私が指揮官になれって。」
藍沢「ああ。」
白石「昔は、いつも現場に黒田先生や橘先生がいてくれて。私はその指示に従っていればよかった。でも今は私がその役割を果たさなきゃいけないのよね。」
藍沢「悪い癖だな。」
白石「えっ?」
藍沢のまさかの指摘に白石は驚く。
藍沢「そう背負い込むな。お前はいつも自分のことを後回しで救命のことを考えてる。24時間。それはみんな知っている。一人でやろうとするな。もっと周りの人間をこき使ってやればいい。お前が決めたことならみんな聞くさ。」
そういってわかりにくいが白石に微笑みかける。
あぁ、なんでこの人はいつもこう心に来る言葉を言うのだろうか。
そう、白石は思った。
白石「こき使うってそんな。」
藍沢「…9年か。」
白石「ここに来て?もうそんなに経つんだね。」
藍沢「9年経って…お前はこの救命の良心になった。」
藍沢はそこまで言って少し考える。
藍沢「…お前ならどうする?俺は救命で覚えるべきことは一通り覚えた。今は脳外のほうが刺激が多くて面白い。」
白石「うん。分かるよ。」
藍沢「それだけで…いいのか?」
白石はまっすぐ前を向く。
白石「どっちでもいいと思う。脳外科でも、救命でも、藍沢先生がメスを握ってさえいてくれれば。…だって、どこにいたって、あなたは絶対命から逃げない。」
藍沢はその言葉を聞いて覚悟を決めた。
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作者名:EMI | 作成日時:2020年4月11日 13時