この世界で君に出逢えたこと 2

どうして~タプside~ ページ4

『その女は取り押さえられたし
幸いにも他の人は気づいてない。
Aは自分の体を隠して
何もなかったように装って
車に乗り込んだんだ。』


『・・・Aヌナは？！』


.

その時の俺は騒がれようが
何を言われようがそんなことどうでも良かった。


・


後ろにいるだろうAのバンへ行こうと
ドアを開けようとした。



『ダメだ！・・・今はじっとしてろ』



『でもさ・・・！』

窓のスモーク越しから
沢山のファンが
立ち止まってこちらを見てた・・


自分の立場を悔やんだ。
俺のせいでAを傷つけた。




『とにかくここを出たらすぐに
病院へ向かわせるから。
何ともないといいが・・・』

『傷って・・・大丈夫かよっ・・・』

『僕、一瞬見えたけど、もう凄かった・・・』

ジヨンとスンリが心配そうにそう言った後
俺はすぐAに電話をした。

なんでかばったんだよ・・



・





とにかく、
一刻も早くAの声が聞きたかった。


『ヨボセヨ？・・・タプ？』


電話に出たのは
スタイリストのソヨンだった。

『ヌナ！Aは？・・・』

『タプ・・・・ちょっと待ってね。』

すぐそこにいるであろうAを
想いながら待った。

『ヨボセヨ？・・・』

そして
Aの声が電話越しから聞こえると
やっぱり今すぐにでも駆けつけたい
自分がいて。


『ごめんね？ タプ・・・
私も何が起きたかよくわからないうちに
こうなっちゃって？
でも騒ぎにならなくてよかった。
もう！モテる男の荷物持ちなんて
しません！』

俺の気持ちとは裏腹に
そう、いつもの様に明るく笑い飛ばす
Aに俺は声を詰まらせた。





『・・・本当にごめん』

そしてただその一言しか言えなくて。





そう言った後で、涙が溢れそうになった。






『だってこれと仕事だもん。
気にしないでね。』


『ごめん・・・怪我が心配だ・・・


みんな心配してる・・・』

『本当に大丈夫って伝えて貰える？
ちゃんと病院で看てもらえるから。
せっかくの日本なんだから美味しいお寿司いっぱい食べてきてね！』




電話越しのAの声は
明るくて


なんで
いつもそうなんだよって・・



本当は。
怖い想いしたはずなのに。


・




いつも

救われるのは
俺の方で




・





彼女は


・




いつだって




弱音なんか
吐かなかった。




・

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