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二人きり ページ29

*難産でした……。




遠い夜空から届く星の光を頼りに、彼女の手を引いて走る。



──辿り着いたのは、中心に大きな木のある広場だった。



***



──気付けば、しのぶさんの手を引いて地下室どころかお屋敷を抜け出していた。


「ちょっと、どうしたのよいきなり! 錯乱したかと思ったわよ!?」

「ごもっともです……」


奥さまから情報を聞き出していたカナエさんには「散歩に行ってきます!」と叫んで妹さんを連れ出してしまったけれど、もしかしなくても他のやり方があったのではと思う。

気が触れたと思われてもおかしくない奇行だった。思い返すとちょっと恥ずかしい。


「で、本当にどうしたの?」


熱くなった頬を冷ますように手を当てていれば、目の前の彼女は心配げに首を傾げた。


優しいな、と思う。錯乱したかと思ったのに、彼女は付いてきてくれたのだ。身長こそ同じか私の方が高いくらいだけど、身体能力も体力もしのぶさんの方が高いのだから、抵抗しようと思えば簡単だっただろうに。


「……二人っきりで話したくて?」


あ、怪訝そうな顔をされてしまった。嘘は吐いてないんだけどなぁ……。


「なら疑問符をつけないの」

「……了解です。
二人っきりで、話したかったんですよ。しのぶさんから、哀しい匂いがしたから」


分かりやすく、炭治郎の言葉を借りてみた。私は映像記憶能力があるから、人の表情の些細な変化にも気付きやすい。でも、それを説明するのはちょっと難しかった。


「なんでかな、って。教えてほしくて」


「……貴女に関係ある?」


「……ないです、けど。
……でも、私、しのぶさんのこと大好きなので、ほっとけなくて」


「大袈裟ね」


そうでもないですよ、と心の中で呟いた。


だって、考えるより先に体が動いたのだ。耳飾りが揺れる音がして、気付けば名前を呼んでいた。


哀しそうだったから慰めたくなった。寂しそうだったから寄り添いたくなった。


一人で佇む彼女の姿を、私は受け入れたくなかったのだ。

それを大好きと言わず、なんと言おうか。


実の姉(カナエさん)を差し置いてってところは、図々しかったかなと思いますけど」


「そんなことはないわ。姉さんには……多分ずっと、言えないままだと思うから。ねえ、」



夜風が吹いて、私たちの髪がさらりと舞う。カランと揺れる耳飾りの音に混じって、彼女の囁きが私の耳に届いた。





「──どうして、貴女は優しいままでいられるの?」






.

誰が為に→←理解不能



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ドジ猫(プロフ) - 絵宙(えそら)さん» 一応、炭治郎の髪ってことで炭治郎本人は数に入れてないです! わかりにくくてすみません!汗 (2020年3月30日 6時) (レス) id: a192f6ddb7 (このIDを非表示/違反報告)
絵宙(えそら) - ページ5の「込められた想い」では、弟の数は、茂、六太、竹雄、炭治郎(漢字が違うかもしれません)で、四人だと思います。細かくてすいません。これからも頑張ってください!楽しく読ませていただいてます! (2020年3月30日 3時) (レス) id: 63faa5bcfc (このIDを非表示/違反報告)
由亜(プロフ) - とっても面白いですね!一気に読んじゃいました。寝転びながら読んでたんで、シーツの一部分になみだのしみが・・・(泣きました)これからlet's続編で御座います!面白い小説を有難う御座いました (2020年2月24日 4時) (レス) id: d2128f7714 (このIDを非表示/違反報告)
タートル(プロフ) - 失礼致します!面白くて一気に読んでしまいました!私も鬼滅のお話を書いているので良かったらお越しください。 (2020年2月19日 20時) (レス) id: 77bb05bd52 (このIDを非表示/違反報告)
ドジ猫(プロフ) - なるは。さん» ありがとうございます!嬉しすぎて顔がにやける……!これからもよろしくお願いします!! (2020年2月16日 22時) (レス) id: a192f6ddb7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ドジ猫 | 作成日時:2019年12月19日 0時

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