水底に沈む ページ18
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──風に煽られ、彼女の羽織が視界の端ではためく。
まるで蝶のようだ、と思うのと同時、何故か見覚えのあるその羽織に、何処かで会っただろうかとも思う。
そう問い掛けようと顔を上げれば、彼女のポカンとした顔が目に入って。
「…………ごめんなさい、今の台詞は忘れてください……」
私は再び頭を深く下げた。
＊＊＊
……恥ずかしい。ものすごく恥ずかしい。穴があったら入りたい。
私は頭を下げたまま、熱くなった頬を手で隠す。
いくら彼への感謝が積もり積もってたとはいえ、彼と知り合いかどうかも定かでない彼女に対してあの台詞はない。初対面なのに。重い。現に彼女は戸惑ってた。ごめんなさい。
「あの、気持ちは嬉しいわ？ 貴女がとてもその隊士に感謝してるんだってのも伝わってきたし……」
よしよし、と頭を撫でてくれた手は、撫で慣れた人の手だ。お姉ちゃんとか、母さんとかの。あれ、そういえば、小父さんの話では……
「姉妹だと聞いてたんですけど……」
「姉さん！ 手掛かり、やっと見つけたわ！ あの大きなお屋敷の──、あら？」
と、そこで向こうから手を振ってやって来る人影が見えた。彼女とお揃いの蝶を模した髪飾りに、恐らく隊服であるのだろう詰襟に袴。
どうやら二手に別れて情報収集をしていたらしい。
怪訝そうに私を見遣るその顔は、今も私の頭を撫で続けてる彼女とそっくりだった。けれど、受ける印象は全く違う。
「姉さん、その子は誰？」
その言葉を聞いて、私はまだ名前も名乗ってないのに気付いた。(強制的にだけど)お団子をご馳走になっておいて、これでは礼儀に欠けてる。お姉ちゃんとしても失格だ。
「私の名前は──」
そう口を開いて────カランと、耳飾りが揺れた。
私を引き止めるように。
でも、“ごめんね”、皆。
今の質問は、“私の立場を訊いたもの”。私が名乗る必要はない。ここで立ち去ればいいと、日常に戻ればいいと、頭の隅では理解ってる。
でも、それじゃあ
「──安田Aです。よろしくお願いします、鬼狩りの剣士さまたち」
彼への恩を、間接的にでも返したいというのも本当。
守られる側として、出来る限りの協力をしたいというのも本当。
でも。
──心の底では、私の
関わらないなんて、無理だ。
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ドジ猫(プロフ) - 絵宙(えそら)さん» 一応、炭治郎の髪ってことで炭治郎本人は数に入れてないです！ わかりにくくてすみません！汗 (2020年3月30日 6時) (
レス) id: a192f6ddb7 (このIDを非表示/違反報告)
絵宙(えそら) - ページ5の「込められた想い」では、弟の数は、茂、六太、竹雄、炭治郎(漢字が違うかもしれません)で、四人だと思います。細かくてすいません。これからも頑張ってください！楽しく読ませていただいてます！ (2020年3月30日 3時) (レス) id: 63faa5bcfc (このIDを非表示/違反報告)
由亜(プロフ) - とっても面白いですね!一気に読んじゃいました。寝転びながら読んでたんで、シーツの一部分になみだのしみが・・・(泣きました)これからlet's続編で御座います!面白い小説を有難う御座いました (2020年2月24日 4時) (レス) id: d2128f7714 (このIDを非表示/違反報告)
タートル(プロフ) - 失礼致します！面白くて一気に読んでしまいました！私も鬼滅のお話を書いているので良かったらお越しください。 (2020年2月19日 20時) (レス) id: 77bb05bd52 (このIDを非表示/違反報告)
ドジ猫(プロフ) - なるは。さん» ありがとうございます！嬉しすぎて顔がにやける……！これからもよろしくお願いします！！ (2020年2月16日 22時) (レス) id: a192f6ddb7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ドジ猫 | 作成日時：2019年12月19日 0時
