祈りの先は ページ11
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信乃さんは、先生の息子さんのお嫁さんだ。先生から見れば義娘、私から見れば養母ということになる。
元は良いところのお嬢さんだったらしく、なんて言うのかな、こう……お上品？ な雰囲気を纏っていて、そしてとてもおおらかな人だった。
先生が連れてきた私を厭うこともなく、むしろ大歓迎だった。いや、先生の家族なんだから優しいのは当然だったかもしれないけど。それでもちょっと驚くくらいの歓迎っぷりだった。
どうやら結婚してから数年、初めての
(私は長女で、確かに妊婦さんのお世話は慣れてるけど……。先生たちは、“竈門”Aも含めての“安田”Aだって、思ってくれてるんだよね)
……その優しさに、報いたいと思う。“母上”、“父上”と呼べたなら、どんなにいいだろう。とても優しく私の名前を呼んでくれる彼らと、同じだけの親愛を込めて私も彼らを呼びたいのに。
それなのに。
『お姉ちゃん！』
──喪ったばかりの家族の笑顔は、未だ鮮明に脳裏に焼き付いていて。
言葉にしようとする度に、喉が引き攣れたように声が出なくなる。だからまだ、一度も呼べたことはない。
けれど……もし、叶うなら。
「早く会いたいな……。元気で生まれてきてね」
私は信乃さんの大きなお腹を撫でる。
(……この子が、生まれた時。私がここでも、お姉ちゃんになれた時には)
──その時には、どうか。私も、貴方たちの家族に入れてほしい。
そう願いを込めて、私はまだ見ぬ稚児に微笑んだ。
＊＊＊
──突然だが、竈門家には私が炭治郎から渡された耳飾りともう一つ、伝統的に伝わっているものがある。
日没から夜明けまで。十二ある型を延々と舞い続けるという過酷な儀式──“ヒノカミ神楽”。
父さんに、耳飾りと同じく継承していくよう頼まれたものだ。継ぐべきだった炭治郎が死んでも、何の因果か耳飾りの片方は私に託され、神楽も私の記憶の中にある。
だから、時が来れば私の子に受け継ごうと考えていた。けれど、私自身が舞うことなんてないだろうと考えていたのに。
「っ、はァっ……っは、」
今こうして私は、神楽用の衣装と祭具を握って、その練習をしている。
──ことの始まりは、生まれてくる子のためにヒノカミ神楽を舞ってくれないかと頼まれたことだった。
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ドジ猫(プロフ) - 絵宙(えそら)さん» 一応、炭治郎の髪ってことで炭治郎本人は数に入れてないです！ わかりにくくてすみません！汗 (2020年3月30日 6時) (
レス) id: a192f6ddb7 (このIDを非表示/違反報告)
絵宙(えそら) - ページ5の「込められた想い」では、弟の数は、茂、六太、竹雄、炭治郎(漢字が違うかもしれません)で、四人だと思います。細かくてすいません。これからも頑張ってください！楽しく読ませていただいてます！ (2020年3月30日 3時) (レス) id: 63faa5bcfc (このIDを非表示/違反報告)
由亜(プロフ) - とっても面白いですね!一気に読んじゃいました。寝転びながら読んでたんで、シーツの一部分になみだのしみが・・・(泣きました)これからlet's続編で御座います!面白い小説を有難う御座いました (2020年2月24日 4時) (レス) id: d2128f7714 (このIDを非表示/違反報告)
タートル(プロフ) - 失礼致します！面白くて一気に読んでしまいました！私も鬼滅のお話を書いているので良かったらお越しください。 (2020年2月19日 20時) (レス) id: 77bb05bd52 (このIDを非表示/違反報告)
ドジ猫(プロフ) - なるは。さん» ありがとうございます！嬉しすぎて顔がにやける……！これからもよろしくお願いします！！ (2020年2月16日 22時) (レス) id: a192f6ddb7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ドジ猫 | 作成日時：2019年12月19日 0時
