想像をはるかに超える (ページ10)

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しばらく海外スケジュールやレコーディングがあって、すれ違い過ぎて会えなかったけど、一応スケジュールはカップルアプリで共有しているから、俺の予定はわかってて、帰国してからはまた作り置きも再開はしてて、でも会えてないから、今日か明日呼ぼうかなって考えてながらうちに帰るとちょうどAが、玄関で靴を履いていた。

『あれ？』

「あ…。」

『え？帰るの？』

「うん。
忙しそうだし、昨日ご飯たくさん作り過ぎたから、食べてもらえたらいいなって…持ってきただけなの。
疲れてる時にお酢がいいって聞いたから、マリネを作ってみたの。
それだけはすぐに絶対に食べてね。
会えると思ってなかったから、すっごくうれしい。」

『俺も。』

「……。」

『眉間の皺すごいけど。』

「3秒だけよろしいですか？」

『ん？なに？』

「あの、後ろを向いていただきたいです。」

言われた通り、彼女に背を向ける。

ギュッと抱きついたかと思うと、息を思いっきり吸い込んでいる音がする、そんなことされたことなかったから、すごくドキドキするし、抱きしめてあげたいし、何より俺が抱きしめたい…でも…そんな匂い嗅いで…でも3秒とか言いながら、1秒くらいで離れなかった？

しかも振り向いた時の顔、めちゃくちゃ険しかった。

『え？
え？何？なんか匂う？
え？
違う香水の匂いとか？
え？
絶対ヒョンだよ？
それかメイクヌナ！
仕事して帰っただけ！
勘違いすんなよ？』

浮気してないのにそんなに、女物の香水の匂いがたくさんブレンドされた匂いがつくことあるんですね。
ああ、メイクさんとか女性ばっかですもんね。
しかも人数もたくさんいるでしょうし。
なかなかの職場ですね。

「…そんなに言うと怪しいです。
ちょっと寂しかったから…補給を。
じゃあ、帰りますね！
たくさん野菜も食べてくださいね。」

え？
寂しかったの？

何？
疑われた？
疑われてない？

え？本当に何にもしてないよ！
本当に！